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「俺は親を抜いてる」は勘違い

――晃さんにとって夫婦とは何でしょうか。

 同じ方向を向いて進んでいくペアなんじゃないかと思うね。それぞれの思いが別になったら崩れるんじゃないかな。同じ夢を見ろとまでは言わないけど、右だったら右を見て歩く。ちょっとズレていても、だいたい同じ方向を見ていたら、それでいいと思います。細かいことは気にしない。

――その方向の一つが子育てだったんですね。

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 そう。だからお互いに仕事と育児を頑張れたんだと思う。女房もいろいろ家のことやってくれてるしって。あんなに小さかった子どもたちもみんな成長して、今じゃ逆転しているけどね。

 俺たちはどんどん老化して動きも鈍くなって、髪も歯も抜ける。その分、子どもはどんどん大きく成長する。でも、知恵だけは親は子どもより上なんですよ。勢いがいいと、子どもは「親を抜いてる」って勘違いをする。俺もそうだったけどね。

 

 親が全て正しいわけではないんだけど、たまに親の知恵を借りることも大事なのかなって思います。こんな偉そうなこと言ってるけど、うちの子どもたちは誰一人相談に来たりしないんだけどね(笑)。その代わり、お金を借りるときだけはすぐに相談してくる。

子どもがいようが、独身だろうが人生は楽しい方がいい

――今年68歳になられた晃さんですが、最近は何をされているのでしょうか。

 今年の2月に乗馬クラブのキャンペーンをやっていたので、一度無料体験に行ったら、楽しくて契約しちゃいました。高かったですけど。でも、脳梗塞やったり、糖尿病持ちだから、いい運動になるんですよ。

 ヘルメットから靴から馬の餌代までいろいろかかるけどね。でもそういう楽しみがあるのはいいですよ。

 

――最後に読者にメッセージなどありましたら。

 結婚しようが、連れがいようが、子どもがいようが、独身だろうが、自分の人生は楽しくお笑いにした方がいいです。周りに迷惑をかけずに好きなことをするのが、一番自分の人生を謳歌できるんじゃないかと思います。好きなことやりすぎて、金も稼がずに子どもをほったらかしにしちゃだめだけど。今ある自分の環境の中で、最大限好きなことをやってほしいです。俺の経験から言えることはこれだね。

 俺も若い頃から好きなことをやってきたから、今の自分があると思うし、どこかで息抜きしないと絶対もたないから。力を入れすぎずに、楽にやってほしいと思います。

写真=佐藤亘/文藝春秋

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