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——春菜もそんなに好きじゃなかった?
春菜は別にホストとして出会ってないから。うーん。もともと別に好きではないです。全然タイプじゃないし、もともとは。僕が春菜に化粧教えたし、服装も「こういうの着なさい」って言ったし、髪の毛も僕が選んだし、僕が理想の女に仕立てたんすけど。
——時間かけて、ずっと付き合って?
そうですね。でも別れるってなったときに、「あ、これって好きなんだ」って思いました。そのときに、やっと。「あ、俺って春菜のこと好きなんだ」って。そのときに、実感っていうか。「あー!」ってなって。
——寂しかった?
そうですね。僕、どうやって生きていこうかと思いました。いままで普通に春菜のお金で、要はずっと生活してたわけだし。僕の収入の18倍? いや25倍くらい?
——いくら稼いでたの?
誰がですか? 僕? パチ屋(パチンコ店の店員)してたんで、20万くらい。……10倍とか15倍くらいですね。
——そうやって、時間が経ってみたら好きになってた?
そのために東京来たんです。
——吹っ切るために?
うん。決めてたんで。春菜と別れたら、絶対東京行くって。それは春菜にも言ってて。「お前と別れたら東京行くわ、ホストするし」って、そう言ってて。