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2022/05/05

source : 週刊文春出版部

genre : ライフ, 教育, 社会, スポーツ

4時間に及んだ保護者会という名の「公開処刑」

 戻らない美香を案じているであろう夫に電話しようとすると、「何しよんの!? 携帯、置いて!」と語気鋭く言われた。

 だが、ひるまなかった。小学校から中学校まで美香はバスケットボールをしていた。小学校のミニバス時代は、ひとりのコーチからたたかれるなどの体罰を受けたが、決してたたいたり、暴言を吐いたりしないコーチがいた。小学校教諭だった。

「美香、ナイスシュート。うまくなったな」

 褒められたときの情景は今でも鮮やかに思い出せる。その教師が大好きだった。そんな自分の経験もあって理子をミニバスケットクラブに入れたが、Bとともに指導していたコーチに誘われバレーに転向させていた。

 180センチ台と長身の夫はハンドボールやラグビーを経験しているが、美香同様スポーツに対し悪いイメージはない。スポーツに「体罰はつきもの」といった古い感覚は一切なく、その倫理観を家族間で共有していた。だからこそ、保護者会という名のこのような「公開処刑」にも耐えられた。

 そして、ようやく終了したのが22時30分。実に4時間に及んでいた。

 美香は、このときのことをこう振り返る。

「本当に怖かったです。終わったときは足がガクガクふるえて、すぐには歩けなかった。まさかОGやその親たちがあんなにたくさん呼ばれているとは思わなくて。しかも、全日本で日の丸をつけた方まで。手本にならなくてはいけない存在なのにと呆れました。誓約書を渡されたときは、さらに目を疑いました。臭いものには蓋をしろってことじゃないですか。大人なのに、正しいか、間違ってるかの判断もつかんの? って」

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