大会前日に喘息の発作が…
この年の倉敷王将戦全国大会は8月4日。夏休みに博志少年にはもう1つ重要な大会があった。今はなくなってしまった東日本都市対抗という都市でチームを作る団体戦で、シニア、一般、中学生、女性など各カテゴリの7人で戦う。小4の終わりの小学生名人戦東京23区代表などが評価されて、博志少年は都市対抗の東京23区チームの小学生枠での出場が決まっていたのだ。
倉敷行きの前週に東京から箱根に移動して都市対抗戦に参加。そのまま千葉県の内房に移動して小学校の臨海学校、東京に帰ると次は倉敷に移動というハードスケジュール。十数年前は今以上に夏休みの将棋大会が多かったので、将棋の強い少年がこんなスケジュールになることは珍しいことではなかったのだ。
東京23区チームは、今も活躍するトップアマ細川大市郎さんなど有名強豪がそろい、反則級の強さ、優勝候補筆頭と言われたチーム。博志少年もその年の小学生名人に勝つなど活躍し、チームは予想通り優勝。博志少年は手にした金メダルを噛んで笑顔を見せた。
臨海学校も終わって、家族で岡山入り。前泊した岡山駅近くのホテルでゆっくりしていたところ、ハードスケジュールがたたったのか、博志少年の持病である喘息の発作が起きた。
「発作の時に使う薬を東京に置いてきてしまい、もう明日の大会はダメかなと思ったくらいでした。じつは妻も喘息持ちで息子と同じ薬を使っていました。大阪の実家にはその薬が常備されていたので、義父が、予定を早め大阪からその薬を持って車で駆けつけてくれたのです。薬が効いて、なんとか発作は治まりました」(ひろパパさん)
そして大会当日。
大会が始まり、しばらくすると、大会付添組と美観地区観光組に別れ、女房と娘は実家の大阪から駆けつけてくれた義父と一緒にしばらく観光に出かけました。娘が以前から行きたがっていた「いがらしゆみこ美術館」などにも出掛けられたようでとても楽しかったとのこと。
(2007年8月6日 大会後記より)
会場となる倉敷市芸文館と観光スポットの美観地区、小さな美術館や記念館が立ち並ぶ場所は歩ける距離。選手の親やきょうだいが散策する様子もよく見られる。小1だった博志少年の妹も倉敷観光を楽しめたよう。