高校卒業後、トップセールスレディに
江藤は福島県内の高校を卒業後、化粧品の販売員となった。すぐにトップセールスレディに上り詰めたという。夫は、高校の同級生で塗装業などを営んでいた。事件を起こす11年前の1984年に事件現場となった場所に家を建てた。ちなみに土地は、地元の住民によると、夫の実家の土地だという。
「化粧品のセールスをしていたってこともあるんでしょうけど、格好は派手でしたね。見た目は、女優の松坂慶子みたいにすらっとしていて、色白で綺麗な人でしたよ。性格は、見栄っ張りのところもあって、高い調度品を集めていたり、当時は手に入れるのが大変だった、銀木犀の木を植えたり、家の石や屋根の瓦なんかも、高いものを使っていて、車も2台あって生活も派手でしたよね。旦那さんも会社の社長然としていて、地味ではなかったですね」
引っ越してきた当初は、近所付きあいもあり、家に招かれることもあったと、近所の住民は言う。
夫のギャンブル癖を「拝み屋」に相談
マイホームを手に入れ、傍から見る分には生活は安泰のようにも見えたが、彼女は夫のギャンブル癖に悩まされていたという。さらには、夫の転職によって、家のローンの支払いにも困るようになった。その頃から、彼女は須賀川市内では知られていた、この地で拝み屋と呼ばれる祈祷師のもとを訪ね、相談にのってもらっていたという。
江藤と同じ住宅地に暮らす60代の男性が言う。
「よく当たるって評判のお婆さんでした。そこに通っていたそうですね。この辺りでは、お祓いに寺や神社だけじゃなくて、拝み屋さんのところに行くのは、普通のことなんですよ。今じゃ少なくなりましたが、昔は何人もいましたから。例えば、結婚の時期や引っ越しする方角まで、拝み屋さんに相談する人がいるんですよ」
男性自身も幼い頃にオネショがなかなか治らず、拝み屋のもとを訪ね、祈祷してもらったこともあったという。
江藤は、人に相談できない悩みを拝み屋に打ち明け、心が満たされたことによって、宗教に傾倒していくようになる。そしていつしか、化粧品のセールスレディを辞めて、自身が祈祷師となったのだった。