「アントニオ猪木」と書かれた票はすべて無効
18日間に亘る選挙活動を終え、7月23日、いよいよ投票日を迎えた。
同日午後6時からは開票&集計作業となったが、足踏みが続いたのは知られるところだ。実は投票用紙に『スポーツ平和党』ではなく、『アントニオ猪木』と書かれた無効票が、ごまんとあったのだという。
翌24日午後2時、民放からの速報で一旦当確が流れ、ざわめくが、「NHKで出るまで、油断出来ない」と待っていると、民放の当確はそのうち消されてしまった。開票から既に1日近くが経過していた。
関係者が声をかける。
「猪木さん、そろそろ延髄斬りを炸裂させて下さいよ」
猪木は屈託なく応じた。
「いやあ、回転エビ固めくらいで(笑)」
午後5時8分。正式な当確が出された。50議席中48番目の滑り込み当選だった。
「1人でも多くの人と握手して、体で猪木を理解してもらうだけだった」と、選挙活動を振り返った猪木。
「政治は国民の声を聴いていない。プロレスがファンの気持ちを無視しては試合にならないのと一緒で、私は1人でも多くの人の切実な声を聞いて政治活動に生かしたい」
そして後日、両目のダルマの理由についても、こう語った。
「勝ったとか、負けたとか、最初からそういうことに自分がこだわっているようでは、真の人助けは出来ないと思ったんです。もっと大きな気持ちで臨まないと」
「おい、猪木! 政治とスポーツは別なんだよ!」
先述した政治家の言葉を、猪木がYouTubeで明かしたのは2021年7月19日。2度目の東京五輪が開幕する4日前のことであった。そして、アイロニカルに、こう続けた。
「なんてことはない。今まさに政治がスポーツを利用しまくっているという(苦笑)」
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