2022年夏公開の映画「メタモルフォーゼの縁側」(芦田愛菜さん・宮本信子さん主演)は、17歳の女子高生と75歳の老婦人が“ボーイズ・ラブ”をきっかけに友情を育む物語。そして私が愛してやまないジャニーズから、なにわ男子の高橋恭平さんが出演しています。
ボーイズ・ラブ(以下、BL)は男性同士の恋愛を題材とした漫画や小説などを指し、近年はジャニーズでも楽曲にその世界観を採り入れたり、BLをテーマにした作品への出演がめずらしくなくなりました。
最近では、「このBLがやばい!2010年」で1位になった「窮鼠はチーズの夢を見る」の映画(2020年)に関ジャニ∞の大倉忠義さんが主演したり、BLの大家よしながふみさんのマンガが映画化された「劇場版 きのう何食べた?」(2021年)にSixTONESの松村北斗さんが出演したりしています。TVドラマでも、男子高校生同士の初恋を描く「消えた初恋」(2021年)に、Snow Manの目黒蓮さんとなにわ男子の道枝駿佑さんがダブル主演しました。
Kis-My-Ft2の宮田俊哉さんと玉森裕太さんの2人は仲が良すぎて、「宮玉」と呼ばれもはやジャニーズ公認状態の“カップル”ですが、2人は愛し合う編集者と絵本作家に扮したBLドラマ「BE LOVE」(2020年dTV)に登場しています。
BLへの参入に慎重だったジャニーズですが、近年はずいぶんとその距離が近づいています。一方で近年はエンタメ界が同性愛的な演出を話題作りのために使うことを批判する声も上がるようになり、男性アイドルとBLの関係も難しい時期に差し掛かっています。
では肝心のファンたちは、“推しとBL”の交わりをどう眺めているのでしょうか。現役のジャニーズファンたちに話を聞くと、十人十色の答えを聞かせてくれました。
「男性も恋のライバルになるのか」
「同性愛をテーマにしたドラマで初めてジャニーズを観たのは、今から30年近く前の『同窓会』という作品です。坂本昌行さんや国分太一さん、山口達也さんがゲイやバイセクシャルの少年役を演じていました。当時は中学生だったので『男同士で!!』というショッキングな部分に目がいき、放送の翌日は友だちとキャーキャー言っていました。……ただファンとして、内心は消化できずに動揺していた部分もあります。ぼんやりとですが“女性だけでなく男性も恋のライバルになるのか”と思った記憶があります」(Aさん・40代)
「同窓会」は1993年に日本テレビ系で放送されたドラマで、西村和彦さん演じる主人公男性が、既婚者でありながら山口達也さん(当時21歳)演じるバイセクシャルの高校生との関係に溺れていく姿が描かれます。他にも国分太一さん(当時19歳)が高嶋政宏さん演じる男性に惹かれ、坂本昌行さん(当時22歳)もゲイのチーマー役で出演しています。
全裸でキスを交わすなど過激な性愛シーンも話題になる一方で、エクスタシーの表現としてバラが花開くイメージが挿入されたりと、詩的な描写も印象的でした。Aさんのように、この作品でBL世界に足を踏み入れたファンも多かったようです。