題名に騙されてはいけない。『猫イジメに断固NO!:虐待動画の犯人を追え』は身の毛もよだつ凶悪事件の真相を追ったネットフリックス屈指の犯罪ドキュメンタリーだ。始まりは2010年末、何者かがネットに公開した猫虐待動画。フードを被る若い男が2匹の子猫を圧縮袋に入れ、空気を抜いて窒息死させる。
「最低な動画だわ。酷すぎる」
激しい怒りを覚えた有志がフェイスブックグループを組み、動画に映る僅かな手がかりから投稿者の特定を試みる。リーダーの“肝っ玉母さん”ディアナ、“仏頂面の分析官”ジョンなど個性豊かなネットオタクが卑劣な冷血漢を追う。だが、彼らを嘲笑うように犯人は自ら顔をモザイク処理した画像を公開。多額の懸賞金がかけられ大騒動に発展し、無関係の男性が糾弾されて自ら命を絶つ事態に……。そんな中、犯人を追う彼らのもとへ偽アカウントを使う何者かからメッセージが届く。
「犯人はルカ・マグノッタ」
ポルノ男優の芸名のような名前のその男は実在した。モデル並みの容姿で世界各地を飛び回る若い白人男性。この男の登場から本作は犯罪史上類を見ない“劇場型”猟奇殺人事件へと展開する。この男がしたことは言葉にするのも憚られる。捜査官は言葉を詰まらせ嗚咽した。それほど胸クソが悪くなる犯行なのだ。そして、この男こそ猫を虐待していた張本人だった。
空恐ろしいのは一体、誰が犯人の名を明かしたのか、である。衝撃的な殺人事件が明るみに出る約1年前に彼から相談を受けた“マイケル・ダグラス似”の弁護士が語る。
「猟奇的だが同時に鮮やかだ」
全ては仕組まれていた?
「私たちはコマで、ルカの物語に利用されたのか?」
投稿、シェア、炎上。怒りや正義感に駆られた人々の行動が犯人の欲望を満たすことに加担し、このドキュメンタリー作品すら犯人の思惑通りだったとしたら……。
戦慄の一作。覚悟して見よ。
INFORMATION
『猫イジメに断固NO!:虐待動画の犯人を追え』
https://www.netflix.com/jp/title/81031373