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東大からプロに進む選手を育成する際に考えるのは…?

 ちなみに東大野球部はこれまで6人のプロ野球選手を輩出してきた。

新治伸治(にいはり しんじ)
1965年卒。東京都立小石川高校卒業。就職先の大洋漁業からオーナーからの指示で、大洋ホエールズに出向。

井手峻(いで たかし)
現野球部監督。1967年卒。東京都立新宿高校卒業。ドラフトで中日に指名され、1976年まで活躍。その後は球団に携わり、落合博満監督時代の中日を書いた『嫌われた監督』の中でも、重要人物のひとりとして登場。

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小林至(こばやし いたる)
1992年卒。神奈川県立多摩高校卒業。1992年千葉ロッテマリーンズ入団。

遠藤良平(えんどう りょうへい)
2000年卒。筑波大学附属高校卒業。日本ハムファイターズに入団。

ドラフトで指名される遠藤良平選手 ©文藝春秋

松家卓弘(まつか たかひろ)
2005年卒。香川県立高松高校卒業。横浜ベイスターズ、北海道日本ハムなどでプレー。

宮台康平(みやだい こうへい)
2018年卒。神奈川県立湘南高校卒業。卒業後、北海道日本ハムに入団するが、現在は東京ヤクルトスワローズでプレー。

 浜田氏は宮台の指導に直接携わったが、彼のケースではどのような育成方針を採っていたのだろうか。

「日本の年間の新生児の出生数は、毎年100万人前後で推移してきました。このうち、東大には1学年で3000人が入学します。だいたい300人に一人の割合なんです。これまで東大野球部の歴史で、甲子園に出場した経験を持つ選手は25人。出生数と入学者の割合を考慮すると、もう少しいてもいいはずなんですけどね。

宮台康平投手は神宮でも活躍 ©文藝春秋

 そして卒業生で、日本のプロ野球に進んだのが6人です。私は宮台の指導に当たりましたが、彼も2年生くらいまではプロに行けるかどうかは分かりませんでした。プロに行く選手だってみんなそうですよ。宮台は上級生になって『上のレベルでやってみたい』という気持ちが強くなったんです。これは六大学野球を経験することでのプラス面ですよね。将来、プロに進むような選手と対戦することで、自分の現在地を確認できますから。本人がそう考えて、かつ能力がそれに見合うものでしたから、私としても球数制限をしながらリーグ戦を戦うということを考えていました」