コロナ禍で深夜営業から早朝営業に転換
注文中、小山さんに店のコロナ禍の営業状況などを聞いてみた。
オープン当初は東十条「そば谷」同様に深夜営業を行っていたが、コロナ対策のため断念し、早朝5時から9時までの朝営業と昼営業にチェンジしたという。夜間営業の常連が来なくなるかと心配していたが、その客が早朝一番で来てくれて、本当に涙が出るほど嬉しかったそうである。今では朝営業時の来客が一番多いというから、店の存在意義が十分浸透しているようだ。
また、利用者の要望に応えるように、若い人向けや仕事途中の常連に人気の天ぷらトッピングやメニューを徐々に増やしていったという。
つゆはアツアツでフレッシュ
大手製麺所の茹で麺を手際よく湯通しし、大きめの春菊をのせてすぐに「春菊天そば」が登場した。
つゆをひとくち飲んでみる。国産厚削りの宗田かつお節、鯖節などをふんだんに使用した節の香りが十分利いた、返しのしっかり立った滋味深いつゆである。毎日店で出汁をとり、使い切る。東十条「そば谷」の漆黒つゆより綺麗な赤味を帯びたアツアツのフレッシュなつゆである。
麺は大手製麺所の茹で麺だが、角の立ったしっかりした麺でつゆとのバランスがすこぶるよい。
春菊天はかき揚げスタイルでボリュームがあり、しかもサクサクと軽めに揚げられている。つゆに浸すとほぐれていき、春菊の香りと旨味がふわっと華開く。食べながら「しまった。もっと早く食べに来ればよかった……」というのが最初の感想である。
そば半分の注文OK、芸術的げそ天がのる
気が付けばあっという間に完食してしまったので、もう一杯おすすめの「げそ天そば」をそばの量半分で注文した。年配者や女性、子供は少ない麺半分などのメニューがあるととても助かる。毎日、半分を食べに来る年配の常連さんもいるそうだ。
すぐに到着した姿がまた実に美しい。げそはアカイカを使いかなりのボリュームで、カットしたげそがゴロゴロ入っている。
一見似ている一由そば・六文そば系の「げそ天」より柔らかく感じる。かなり秀逸な味である。東十条「そば谷」にはなかったおいしい天ぷらを堪能することができた。