岐阜県岐阜市京町にある「更科」は、東京都台東区浅草の「翁そば」、埼玉県南埼玉郡宮代町の「一茶宮代」と並んで、日本を代表する大衆そばの名店である。客のほとんどが年中「冷やしたぬきそば」を食べる店として知られている。甘辛いつゆが特徴で、たぬき(揚げ玉)ときつね(油揚げ)が太めのコシのあるそばにのって登場する。不動の人気メニューである。
新松戸にも絶品「冷やしたぬき」がある?
ところが、先日、知り合いのトイデザイナーから面白い連絡が入ってきた。
「新松戸に岐阜の更科のような絶品の冷やしたぬきそばを出す店があるらしいよ」
それは聞き捨てならない。早速出かけることにした。
新松戸駅はJR常磐線と武蔵野線が乗り入れる。駅前は雑多な雰囲気で、ベトナム食材の店などが点在する。あのマツキヨ本社が近くにある。
駅前の商店街の道を北(右)の方へ歩いていく。武蔵野線が見えてきたら、路地を左に入りしばらくいくと「自家製麺 蕎麦 たぬきときつね」の垂れ幕が見えてくる。駅から徒歩5分ほど。とてもユニークな名前の店だ。紺紫色の布地に店のマークとたぬきときつねのイラストが入る。これは店主の山根大助さんがデザインしたというから驚きだ。
「たぬきときつね」は新進気鋭の店だった
「たぬきときつね」の創業は2021年4月10日。山根店主はまだ41歳と若い。山根店主はそばが好きで、長野や岐阜あたりのそばを食べ歩いたそうである。そして、岐阜の更科で「冷やしたぬきそば」を食べて感動し、店を始める時に、そのインスピレーションを受けて新たなそばを提供できればいいと試行錯誤して独自のそばを完成させたという。
入店すると山根店主がにこやかに迎えてくれた。そして、促されるように「冷やしたぬき蕎麦」を注文した。
すると、大釜の蓋を開け太麺を丁寧に泳がせた。茹で時間は4分。それを冷水で締めて、そばをまとめてしぼるように水分を逃していく。
そのままどんぶりに巴の模様を描くようにそばを丸く収めていく。甘辛いつけだれをかけ回し、自家製のたぬき(揚げ玉)、きつね(油揚げ)をのせて、カイワレ、水でさらした刻んだネギ、ワサビを添えて登場した。