85年に『仮面舞踏会』でデビューした少年隊。煌びやかな衣装を身にまとい、歌にダンスにアイドルとして脚光を浴びた。しかし、華やかな世界に身を置く一方、自身がいる環境に違和感があったと、メンバーの一人、錦織一清さんは語る。現在は、舞台の演出を中心に活動されている錦織さん。2020年末に長年在籍したジャニーズ事務所を退所して約1年半。錦織さんが「今が一番幸せ」と語る理由とは。(全3回の3回目/#1、#2を読む)
「今は自分のスイッチが持てた」
――2020年末にジャニーズ事務所を退所されてから、お仕事に変化はありましたか?
錦織 あまり変わりはないかな。(ジャニーズ)事務所にいたころから演出の仕事が多かったし、今もそう。少年隊の舞台『PLAYZONE(プレゾン)』だけでなく、ほかにも結構な数の舞台を作ってきたから。
それに、ジャニーズ以外の仕事も、元々ジャニーズの鎧を着て取ってきた仕事じゃないんです。だから今まで通りというか、むしろ、辞めてからの方が直接僕に仕事を頼みやすくなったんじゃないかな。
――より、仕事の幅が広がったような。
錦織 まぁ。当時から演出の仕事ばかりしていたので、事務所的には好ましく思われていなかったのか。僕がやっていた仕事は、ほとんどアピールしてもらえなかった。本当はかなり忙しかったんだけど(笑)。世間的には僕があまり仕事してない感じに映ってたかもしれないね。
――今は、ご自身でSNSを発信したり、ファンクラブも発足されていますよね。
錦織 自分でも発信できるし情報も伝わりやすくなったよね。それをサポートしてくれる会社もあるし。この文春さんの取材だって、やっぱりかつていた場所だったら有り得ないわけですよ。他の取材にしても、囲み取材で「ここからはネットの記事になりますので、錦織さんはちょっと外れてください」って言われたり。または、あとから記事を見てみると、自分の姿が黒く塗りつぶされたりしてましたから。
――自由度も広がっていった。
錦織 これは、衝撃発言をしたいわけでもないんだけど……。ものすごく楽になったのは、今って自分で自分の引退の時期を決められるじゃないですか。別に明日明後日引退しようって話じゃないですよ。ただ、組織に入っていると、なかなか自分の自由だけで決められなかったりして。
たとえばコンピューターに弱い人が、何かのアプリケーションを起動しちゃったとするよね。終了の仕方がわからないまま、ずっと起動しっぱなしなの。でも、1回でも自分でアプリを終了した人は、次からは自分のタイミングで再起動かけたり、終了できたりするじゃない。今まで僕はそのスイッチを持たされていなかった。でも、やっと今は自分のスイッチが持てた。それってすごく楽だなって思ってね。
――自分の意志とタイミングで舵がとれると。