ブラジルの音楽、雰囲気の中で飲むピンガは最高
「どうしてくれるんだ、どこに行けばいいんだ」と悩ましい街が新安城なのですが、さらに名鉄の隣駅「牛田駅」に向かって歩くと、日本最大級のブラジル人が集住する団地「知立団地」があります。知立団地の看板を見るとポルトガル語での表記があり、小学校の下校時間を過ぎれば子どもたちがポルトガル語で楽しそうに会話をしています。
そんな知立団地には団地内に1軒、周囲に2軒ブラジル軽食屋があり、軽食屋では大衆酒「ピンガ(カイピリーニャ)」をはじめとしたブラジルではおなじみのお酒も飲めます。
ブラジルの子どもたちも駄菓子屋感覚でやってくる店「CAFETERIA Familly」でジュースや濃厚なブラジルスイーツを食べるなり、団地の外にある「Cheiro Verde Chiryu」や「Nosso Lanche」というブラジルバーで「ピンガ」を飲むのもいいです。西原理恵子さんがアマゾン旅行するという企画でスタッフ一同ピンガにハマって「ピン中」になったというほどの酒ですから、ブラジルの音楽、雰囲気の中で飲むピンガというのは旅の〆として最高なのです。
イスラム系住人と南米系住民が交わる珍しい場所
かくして「山谷さん、また安城ですか? 安城好きねえ~」と名古屋の友人に言われるほど新安城に通ってしまいました。店にリピートしても知らない食べ物ばかりなので、行っても行っても知らない食べ物ばかり。ジェネリック海外な店内で食べる飯は実にうまい。
新安城が急に伸びてきたのは、どこの国の店で話を聞いても「ここ3年くらいですかねえ」とのこと。安城のある西三河地方はトヨタ、デンソー、アイシンなどが集う産業の一大集積地で、新安城にはマキタの本社もあります。知立団地に住むブラジル人をはじめとして外国人労働者も多くこの辺に住み、インドネシア人などが利用する新安城マスジドが駅からすぐ近くのところにありイスラム系住民の交流の場となっています。
ともなると、さらに交流の場としてガチ食堂ができるわけで、イスラム系住人と南米系住民が交わる珍しい場所になったわけです。日本の中には工場が停止すると外国人労働者も仕事がなく、別の場所に移住せざるを得ず、併せて店もなくなってしまうものですが、さすがに西三河地方で仕事がなくなることはないでしょう。新安城はイッツ・ア・スモールワールドとして今後も期待できそうです。
写真=山谷剛史
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