1ページ目から読む
3/5ページ目
包丁の持ち方を覚えたら人生が変わった10人の女性
キャスリーン・フリン『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(きこ書房)
ル・コルドン・ブルーを卒業したフードライターが料理教室を開く。だからといって、有閑マダムを相手にフランス料理を教えるのではない。そこに集まったのは、兄に料理を笑われたり、小さい頃包丁で手を切ったりといったトラウマもあって、インスタント食品や冷凍食品に依存し、きちんと料理したくても出来ずにいる女たちであった。
「どの冷凍食品も味が同じだから、いちばん安いものを買う」。マクドナルドが実母との思い出の味の生徒・サブラは言う。そんな彼女も、教室で包丁の使い方を教わったことをきっかけに変わる。そして加工品は不味くて体に悪く、しかも割り高だと気づいていく。
本書は彼女にかぎらず、包丁の持ち方を覚えたら人生が変わった、そんな十人の女たちのドキュメントだ。「私の年齢でも、変わることができるなんて素晴らしいことだわ。この年になっても、自分を驚かせることができるのよ」とは生徒のひとりの言葉である。
また料理のコツを教える助言・格言が軽妙なのが魅力的。たとえば「煮込みはいつも同じです。まずは、焼き目、野菜、ひたひたの水分、フタ、そしてコトコト。たったこれだけ。これを知っているとなんでも煮込むことができるわよ」といった具合である。