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体外受精で最も辛かったのは……?

 粉末になっている薬剤を生理食塩水と混ぜて、それを注射器で吸って、自分のお腹に注射する。基本的に毎日同じ時間に注射するように、と言われる。これがすごく面倒臭いし、なにより注射は毎回痛いのだ。「ここまでしなくちゃいけないのか」という気持ちが頭をよぎる。

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 薬剤を投与し始めたら卵子の状態を確認するために、4日後、そのまた2日後、などかなりこまめに病院に通わなければいけない。前回とは別の病院だが、予約していても時間通りに呼ばれないのは同じ。ひどい時だと何も言われずに2時間待たされたこともあった。在宅勤務が進んだ時期ではあったので、待ち時間にもPCを持ち込んで仕事をするなどしてなんとか対応したが、苦痛は苦痛だ。

 そうやって1週間ぐらい毎日注射をしたにも関わらず、「今回はもう排卵してしまっていました、すみません。次の生理が始まったらまた始めていきましょう」と言われる。痛い思いも面倒な思いもして、何万という単位でお金を払って、時間をかけているのに、何も得られなすぎることに徒労感が募る。ここまでしてやる意味はあるのだろうか――とまた自問自答する。

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採卵は生理痛の「10倍ぐらい痛い」

 なんとか気を取り直して、また同じことを繰り返す。

 今度は順調に? 進み、採卵の日も決まった。採卵の日の2日前からは、それまでの自己注射よりもさらに厳密に時間管理を言い渡され、薬を飲んだり、排卵を抑制する効果がある坐薬を挿入したりしないといけない。「17:55」などと指定があったが、「その5分になんの意味があるのだろうか……」と思ってしまう。

 ぐだぐだ言っていてもしかたないので、指示通り投薬し、採卵の前日夜21時から絶食して採卵日を迎えた。

 まずリクライニングの椅子がある休憩用の部屋に入って着替え。あらかじめ鎮痛薬のロキソニンを1錠飲むように言われて服用し、しばらく待っていると名前を呼ばれる。同じ日に何人も採卵するらしく、カーテンの向こうには別の女性が2人いた。処置室にはベッドがあり、その上に寝転ぶ。まずエコーを入れて卵巣の状態を見て、その状態のまま卵巣に針を刺して卵を一つひとつ吸い取っていく。「タピオカをストローで吸う感じです」と看護師さんに言われて少し笑ってしまった。