ベストセラー『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』を生んだ、92歳と54歳の年の差精神科医。本書はそのコンビによる2冊目の共著。これからシニアに突入する奥田が、自称“超・後期高齢者”である中村に「老い」にまつわる様々なトピックを問いかける。中村は豊かな人生経験から来る答えを返し、奥田はそれにデータや理論の視点を補足して、話題を広げる。息の合ったやりとりを読み進めるうち、自然と不安がほぐれていく。
「コロナ禍でなかなか外出できない中、高齢者が『老い』や『生きるとは何か』といったテーマに内省的に向き合おうとしている世間の風潮を感じていました。連日発表される感染による死者数を見て、死が身近になったことも影響したかもしれません。そうした気持ちに応えられるよう、気軽に手に取れると同時に、具体的な『老い』と向き合うために使えるノウハウも盛り込まれた本にすることを意識して編集しました」(担当編集者の吉本竜太郎さん)
本の終盤には、社会問題に繋がるシビアな視点も。
「終末期医療に対する考え方に多く紙幅を割いたのは、お2人のこだわりでした。そこで『延命治療を拒否する』とおっしゃっていた中村先生は、言行一致で自ら老人保健施設に入られた。その事実まで明かされたことに、この問題への強い思いを感じました」(吉本さん)
2021年8月発売。初版1万部。現在8刷10万5000部(電子含む)