ある日、東大病院の名医・中川恵一さんの元に、恩師の養老孟司さんから体調不良についての相談メールが届く。養老さんはひとまず検査を受けるため、26年ぶりに東大病院を受診。ところがそこで心筋梗塞が判明、緊急入院となる……。
「病院嫌いで知られる養老先生が自ら病院へ行ったということを知り、これはもはや『ひとつの事件』だと思いました。もしかしたら先生の医療に対する考え方にも変化があったかもしれない。それも含めてこの顛末をぜひ一冊にまとめたいと考えたんです」(担当編集者の加藤紳一郎さん)
発売直後から60代以降の読者を中心にヒットしているという本書は、1章・3章は養老さんが、2章・4章は中川さんが執筆を担当。《なぜ「医療」と距離をとるのか?》《がん検診は受けたほうがよい》など、患者と医者それぞれの本音が往復書簡のように交わされる。そこには現代の医療システムの中で、自分の健康や病気、果ては老いや死に、私たちがどう向き合い行動すべきかのヒントが見えてくる。最終章は漫画家のヤマザキマリさんが加わった、和やかな鼎談を収録。
「本書の制作中に養老先生の愛猫・まるが18歳で亡くなりました。先生の喪失感、自身の場合とは異なるペットの病気への関わり方、その葛藤なども率直に綴られています。猫好きの方にもぜひ読んでほしい一冊です」(加藤さん)
2021年4月発売。初版8000部。現在9刷8万部