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メフィラス星人との“居酒屋飲み”にあった伏線

第9位 『日本沈没』(1973年の映画版・1974年のTVドラマ版)

 タイトルの通り「地殻変動で日本の陸地が水面下に沈没する」という事態に人々がどう立ち向かうのかを描いた小松左京の同名小説が原作のSF作品。ウルトラマンとは直接関係ないものの、映画の中では『日本沈没』を彷彿とさせる演出があるという。樋口真嗣監督は2006年に同じ『日本沈没』を原作にした映画を撮っている。同じ特撮作品でもあり、SFの名作としてのリスペクトがあるのだろう。

『日本沈没』 

「丹波哲郎演じる総理大臣が箱根のフィクサーにどうすればいいか聞きに行ったシーンが『シン・ウルトラマン』のラストに至る展開に繋がる名シーンです。総理の問いに対する答えはまさかの『私が一番有効だと思う事、それは何もしないことだ』。ゼットンの脅威にさじを投げた人類の姿と重なりますよね。この時に丹波哲郎のグググ……と目を見開いて血走らせた演技は1億人の命を背負った人の苦悩を現した名演技だと思います。

 細かいところですが、メフィラス星人とウルトラマンが話している居酒屋で流れているのは、TVドラマ版『日本沈没』で五木ひろしが歌った挿入歌でもあります。もしかすると、このシーンで映画『日本沈没』のような展開をすることを予告していたのかもしれませんね」

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“トラウマ回”が示唆していた「人類の危険性」

第8位「故郷は地球」(『ウルトラマン』第23話)

『シン・ウルトラマン』では登場しなかったものの、『ウルトラマン』で有名な怪獣の一つ、ジャミラが登場する。水の無い惑星に不時着してしまった宇宙飛行士ジャミラが、復讐のために地球に襲来するという衝撃的なエピソードで“トラウマ回”に挙げる人も多い。

ジャミラ(円谷プロツイッターより)

「人物の超アップや手前のモノ越しに捉える、監督の実相寺昭雄さんによる独特のアングルからの影響が『シン・ウルトラマン』にみられますが、その原点の一例として挙げました。内容的にも必ずしも無関係とは言えません。『シン・ウルトラマン』は、人類が宇宙の平和を乱す兵器になる可能性がある、だから滅ぼさなくてはならないという展開でしたが、この回で怪獣になってしまったジャミラも同じように地球人が恐ろしい存在になってしまうことを表しているのです。シリーズ屈指のシリアスな展開で、脚本もとてもすぐれているので今見ても色あせない魅力があります」