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 余談になるが、怪獣との対決も含め、フルCGであるにもかかわらず、あえてミニチュア特撮のような演出にしたのには「良くも悪くも庵野さんの美学が貫かれていました」と語る。

「明らかに昔のオマージュである、ウルトラマンがくるくる回転して光線を出すシーンは若い人にどう映ったのかが気になります。当時は人形で出来る演出を試行錯誤した結果のシーンでした。その不自然さをあえて残して、現代にどう受け止められたのかは聞いてみたいですね。

 今放送しているテレビシリーズでは、限られた予算でミニチュア特撮とCGを上手くかみ合わせて面白いアクション演出をしています。気になった方はぜひそちらも見ていただきたいです」

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メフィラス星人の“ウソ”とは「人間も使徒だったのか」

第4位「禁じられた言葉」(『ウルトラマン』第33話)

 映画では山本耕史が演じたメフィラス星人が登場するエピソード。初代ウルトラマンでは少年に「地球をあげます」と言わせることで、地球征服の言質を取ろうとメフィラス星人が企む、という展開になっている。

「初代ウルトラマンに登場する宇宙人は、種類こそ少ないですが、怪獣とは明確に描き分けられていて、どれも魅力的です。特にメフィラスはIQが非常に高く、暴れ回る怪獣とはひと味違う。『暴力が嫌い』と明言する知能派です。彼らは彼らなりのルールを持って地球を侵略するという設定が映画のラストに繋がっています」

メフィラス星人(円谷プロツイッターより)

 個性的なキャラクターであるメフィラス星人はSNSでも非常に人気がある。

「今回の映画は全体的に人間社会を一歩引いた目線で見たような冷たさがありました。ザラブ星人やメフィラス星人といった侵略者や、地球人と宇宙人が合体したウルトラマンの目線で人類の文化が語られるからだと思います。どこか滑稽で皮肉な描き方は初代ウルトラマンにも共通するものがありますね」

『シン・ウルトラマン』で、メフィラスは「人間とウルトラマンが合体できることを知り、人間の兵器化を目指して地球に来た」と語っている。しかしメフィラス星人の“置き土産”だったとされるネロンガが地球に出現したのはウルトラマンと人間が合体する前。メフィラスが人間の兵器化を思いつくのはウルトラマンが怪獣と戦ったあとでなければならないため、「ウルトラマンよりも前に地球に来ていた」とするメフィラス星人の発言は時系列として矛盾があるのではないかと指摘する人もいる。

「メフィラス星人の言っている時系列に矛盾があるとしたら、彼の言っていることだけが本当ではなくて、まだ隠されている事実があるのでは、と思ったりもしました。例えば、怪獣が置き土産の人工生命だとしたら、人間も果たして元々地球にいたのか、と疑いたくなります。『新世紀エヴァンゲリオン』の『人間も使徒だった』という設定がありますから」