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「ウルトラマンが、ザラブ星人が化けた偽ウルトラマンにチョップして『イタタ』となる演技は初代にもあるんです。その時はスーツアクターの方が骨折しています。エンドロールのモーションアクションアクターのなかに庵野さんの名前があったのですが、もしかしたらこのシーンを本人がモーションアクターで再現した可能性もあります。庵野さんは過去のインタビューで『あのシーンが好き』と明言していましたから。

 また、嶋田久作演じる首相との握手シーンも最高でした。滑稽で風刺が効いていながらも、『宇宙人と握手する総理大臣』シーンありきのキャスティングだったのではと思うくらいです」

「ウルトラマンは黒船」庵野氏は日本の近代化を風刺した?

第1位「さらばウルトラマン」(『ウルトラマン』第39話)

 初代シリーズの最終話であり、映画にも登場したゾフィーとゼットンのエピソード。ウルトラマンに圧勝したゼットンを科学特捜隊が新兵器であっけなく倒してしまうという結末で、人類の技術がウルトラマンを超えた瞬間を描いたエピソードでもある。

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ゾフィーとゼットン(円谷プロツイッターより)

「『ウルトラマンに頼っているだけでいいのか』という問いは、シリーズを通したテーマです。テレビの最終回でウルトラマンを倒したゼットンを人類が倒したのは、このテーマを踏襲しています。今回の映画版で、ウルトラマンがもたらした技術で人類が覚醒するというのはとてもわくわくする展開でした。

『シン・ウルトラマン』はただ昔のシリーズを踏襲するだけではありません。ウルトラマンになった神永と同じように、他の人間も強力な戦闘資源になりうるという展開は今までのシリーズのテーマをより掘り下げた形になりました。

 日本の過去を振り返っても、近代化で四民平等にする代わりに、国民皆兵にしたという歴史がありました。ウルトラマンは黒船をもたらしたのかな、というのは深読みしすぎですかね」

 旧作のオマージュをふんだんに取り入れながらも、新しいテーマに挑戦する『シン・ウルトラマン』。切通さんはすでに続編の展開を予想していた。

神永役の斎藤工(映画『シン・ウルトラマン』ツイッターより)

「続編があるとしたら、ウルトラマン同様、人類のスーパーメカが活躍する作品になってほしいから、より予算が必要です。そのためにも極力メガヒットしてほしいし、少なくとも『シン・ゴジラ』の興行収入とは並んで欲しい。特撮ファンはいつでも、自分たちの好きなゴジラやウルトラマンが広く世の中で通用してほしいと思っているのです」