料理界で「うま味調味料」は禁忌だった
――ご自分の言葉で発信されているところも、リュウジさんが支持されている理由な気がします。
リュウジ そうかもしれないですね。同業の料理研究家の人からもめちゃくちゃ言われるんですよ。「リュウジさんが言ってくれてよかった」って。
――具体的には何の発言についてですか？
リュウジ わかりやすいのは「うま味調味料」ですね。「リュウジさんが広めてくれたから使えるようになった」と、他の料理研究家の方から感謝されました。
――私も料理本をよく買いますが、材料欄に「うま味調味料」が載っていたレシピ本はこれまで一冊もなかったです。やはり料理界でうま味調味料は禁忌ですか。
リュウジ ある料理研究家の方と対談したとき、「それ（＝うま味調味料）だけは絶対に使わなかった」と言っていて。だから僕を見て、「遂にこういう料理研究家が出てきたか」と思ったそうです。
実家はうま味調味料のヘビーユーザー
でも、実は「ほんだし」の中にも入ってるんですよ。うま味調味料って。
――あ、そうなんですね。だとしたら知らぬ間に多くの人が使ってますよね。
リュウジ 「『味の素』ってヤバいよね」という人は、ほんだしを使っている確率がめちゃくちゃ高いです。「味塩コショウ」も同じです。うま味調味料を使うことでたくさん誹謗中傷を受けてきたので、たぶん自分は日本一、うま味調味料に詳しい料理研究家だと思います。
僕が一番嫌なのは、「にわかオーガニック」みたいな人。やるならちゃんと自分で調べて徹底してやればいいのに、ふんわり「添加物ってなんかヤバいんでしょ」みたいな人が大半。逆に信念を持ってオーガニックを徹底している人はカッコいいなって思います。
でも、もともと自分もうま味調味料には否定的でした。
――それは意外です。ずっと使っていたわけじゃないんですね。
リュウジ 実家は味噌汁にも入れるくらいうま味調味料のヘビーユーザーでしたが、自分で料理を作り出してからは、「うま味調味料を使うヤツなんて料理人の風上にも置けない」と思ってました。
