メンバーは「行ってからのお楽しみ」
――とはいえ人前で全裸になってダンスをするって、かなり勇気がいりませんか?
Akari う~ん、いま考えると、裸でパフォーマンスするってどういう感じなんだろう、っていうことへの興味が、自分の体を見せることへの恐怖や自信のなさよりも強かったのかもしれませんね。それに、大学の先生っていう信頼できるソースからの情報だったし、身の危険性を感じることはありませんでした。
――確かにそういう安心感はあるかもしれませんが……。どんな人が参加するか、事前に知らされたんですか?
Akari いえいえ、行ってからのお楽しみ、という感じで(笑)。本当にいろんな人がいました。まず年齢がバラバラ。孫がいるおばあちゃんとか、娘がいるおじさんとか。学生もいました。自己紹介の時に「私はXジェンダーです」と言っていた人もいれば、ゲイの男の子も。私以外にも中国とか韓国出身の東洋人もいたし、イラン人やスイス人とか、とにかく多国籍。車椅子の参加者もいました。
オランダに住んでいる人だけじゃなく、中には先生の出身地のオーストリアからの参加者もいて。先生、オーストリアには熱狂的なファンも多いらしいんです。国境を超えて参加者した人たちは、リハーサルと公演期間はまるまるオランダに滞在してるって言っていました。
裸になることへの抵抗感は日本とまったく違っていた
――裸で踊ったことがある人は結構多かった?
Akari 半分以上が「全裸でパフォーマンスするのはこれが初めて!」って言っていて、ちょっと意外でした。裸で踊ったことがあるって言っていたのは、先生が過去に開催した全裸パフォーマンスに参加した人と、あとはオランダのクラブで裸で踊ったことがある人とか……。
――え、警察に逮捕されますよね?
Akari それは大丈夫。オランダには裸だと入場料が無料になるクラブがあるくらいなので(笑)。
この国では、公共の場所であっても、市町村議会が「ヌードに適している」と指定した場所では裸OKなんです。たとえばビーチなどですね。もちろん小学校や教会の周りで裸になるのはもってのほかですが、市町村議会が指定していない公共の場所であっても、「常識の範囲内」なら大丈夫。そもそも民営のクラブは公共の場所ではないので、クラブ側がヌードになっていいかを判断します。
逮捕された場合も「ここはこういう理由でヌードに適している場所だ」と裁判官を納得させられれば裁判で勝つことも可能です。
――裸OKかどうかは個人の「常識」に委ねられているところが大きいと。
Akari ダンスのリハーサルでも、みんな抵抗感なく脱いでたし、裸になることへの抵抗感は感じませんでした。体が温まったタイミングで、一人一人が好きな時に脱ぎ出していった感じ。
――体が温まったタイミング。
Akari リハーサルでは公演で踊る演目をひたすら練習する前に、まずウォーミングアップで各自が好きなように踊ることから始めるんです。そこで体があたたまってきたらだんだん脱いで、パンツだけになって最後パンツもなくなって……みたいな流れかな。寒い人は服を着たままで大丈夫だし、一旦脱いでも冷えてきたらまた着ることもありましたし。床が冷たかったから、靴下だけ履いてる人もいました(笑)。