高校生の娘さんがいる60歳の素敵な友達
――コンプレックスがあったと言っていましたが、そんなに感覚が変わるものなんですか。
Akari 参加者の捉え方は様々だと思いますが、誰かの視線に応えるために、自分の体に手を加える必要はないと思えるようになった気がします。いま「毛、剃らないの?」って聞かれたら、「うん、私剃らないんだ。肌弱いから」って普通のことのように答えられると思います。
――確かにこんな体験をしたら“裸観”は変わりそうです。
Akari しかもとても素敵な友達ができたんです! 高校生の娘さんがいる60歳のおじさんなのですが、最寄り駅が隣で、電車で会ってリハーサル会場まで一緒に行って帰るうちにとても仲良くなったんです。最近は私が薦めた村田沙耶香さんの「地球星人」を読んでもらって、社会規範について議論しました。
家に招待されて、晩御飯をご馳走してもらったこともありますよ。奥さんと娘さんも一緒に。
裸をタブー視していないオランダでも個人差は大きい
――ご家族も裸に関しては寛容なんですね。
Akari 実はそんなことはなくて、奥さんと娘さんは、彼がダンスパフォーマンスに参加することにあんまり賛成してなかったみたいです。公演も観に来なかったらしいですし。娘さんとも最近仲良がいいのですが、「お父さんが裸でダンスしてるって考えるだけで、変な気持ちになる」って言ってました(笑)。
裸に対してネガティブな視線を向ける人は、どの社会にもある程度存在すると思います。ただ、少なくともオランダのスパでは混浴が普通で、特別なことではありません。スパには「お互いのスペースや経験を尊重しよう」という空気感があって、その場での経験をいい距離感で共有できるんです。北欧やドイツなど、欧州のほかの国にも似た空気がある気がします。
パフォーマンスへの参加は、体や視線、セクシュアリティなどについて考えるきっかけを与えてくれました。またぜひ参加したいですね!