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服を着た観客との距離がすごく近い

――周囲がみんな裸だと気にならなくなるのかもしれませんね。かつては日本も混浴がOKだった時代もあるわけですし。でも本番では服を着た観客の前で踊ったんですよね?

Akari そうそう。様々なムーブメントに合わせて、1時間半ぐらいいくつかの演目を裸で踊りました。観客との距離がすごく近くて面白かったですよ。観客席とステージの隔たりがほぼなくて、ダンサーも観客もみんな同じ床の上に立ったり座ったりするんです。

 観客席にダンサーが座って、フロアにいる観客をただ見つめるっていう、観客とダンサーの立ち位置が逆転したかのようなシーンも面白かったです。

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観客席に座るパフォーマンス(ドリス・ウーリッヒ氏の公式サイトより)
観客たちは、ダンサーたちに触れんばかりだ(ドリス・ウーリッヒ氏の公式サイトより)

――この写真を見ると、ダンサー同士が結構密着していますね。

Akari もとから密着して行うパフォーマンスもありましたが、各自が1人で踊る演目でもひっつくことが多かったんです。「誰かのパワーやサポートがほしい時にそうするように」って先生から言われていたので、自分が好きなタイミングで他の人にくっついて一緒に踊ったり、「もういいかな」と思ったら離れたり。

 オランダ、というか欧州では特に自立して生きることが良いことだとされるじゃないですか。特にコロナ禍で1人でいることが推奨される中で、こうして人と触れ合えたのは嬉しかったです。

「コンプレックスを隠したくない」というパワフルな気分に

――観客の前でも、恥ずかしいっていう気持ちは感じなかったんですね。

Akari むしろすごくパワフルな気分! 公演当日、「コンプレックスを隠したくない」と思って、あえて毛は全く剃らなかったし、メイクもしなかったんです。「完璧じゃない自分の体に私は満足しています」っていうメッセージを伝えたいと思ったから。

 もしかしたら観客の中には、私の体を見て「毛だらけの肌を見せて踊るなんてどうかしてる!」と思った人もいたかもしれない。でも、「私の体がダメだと思うのはあなたたちの問題であって、私の問題ではありません」って強気でいられました。

 観客にアイコンタクトしながらにっこり笑って「ハロー」って挨拶する演目があったのですが、それも恥ずかしさを感じることはなかったなぁ……。公演後、観客とバーで話した時に「すごくよかった!」って言われて、それもまた嬉しかったです。