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夢枕 何か言われたんですか?

北方 あれは達人だったな。「よっ、兄弟」って言われちゃった(笑)。

夢枕 やっぱりお尻の軽い方は口も軽い(笑)。

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北方 俺は退院したあと、自分のが使いものになるかだけが心配だったんだけど、薬も何も使わないで使えたからそこは安心したな(笑)。

夢枕 デビューしたての30代の頃、一回、対談しましたよね。

北方 最初の対談はずいぶん真面目にやったな。お互いの作品を事前に全部読んで、語り合ったことをよく覚えている。それ以降はじゃれあっているばかりだけど。

夢枕 遠い昔、ワインバーで馬鹿な話もしました。

北方 俺はワインを女性に喩えて評価するんだけど、獏ちゃんはプロレスに喩えるんだよ。

夢枕 「これは修業期間が長い選手で」とか「3年間アメリカで前座をやって」とかね。「最近いい味出てきてますよ」なんていう感じで。

北方 そうそう。「生まれた時は4000グラムで10歳になったら100キロ超え。高砂部屋に勧誘されて中学で入門するも、稽古が辛くてメキシコに逃げて、ルチャリブレを覆面でやっていたんだけど、日本に戻ってきてマスクを外したら結構イケメンで、人気が出てきた頃に抜かれたワインですよ」とか言って(笑)。

夢枕 相当酔っぱらってました。

オホーツク海に向かって一緒に「北方謙三顔」を

北方 オホーツク海に向かって、一緒に「北方謙三顔」っていうのもやったよな。

夢枕 僕と北方さんとわっぺい(立松和平)さんで、『すばらしき仲間』というテレビ番組の北海道ロケに行った時でした。北方さんが「まずオホーツク海の水平線に目を合わせる。睨みつけるような視線をそこに残したまま、顔だけ下げていく。そうすれば俺になれる」と教えてくれたんですよ。

 3人で並んで「いち、にの、さん」で実際にやったら真っ先にわっぺいさんが、次に僕が耐え切れなくて噴き出した。北方さんは平然としていて、やっぱりすげえなと思いましたよ。