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「締め切りギリギリまでK–1のノックアウトシーン動画を延々と観てる」夢枕獏と北方謙三が語る“がん治療後”も“執筆がやめられない”ワケ

夢枕獏さん×北方謙三さん#3

source : オール讀物

genre : エンタメ, 読書

note

夢枕 下手に真似をするよりも、今まで好きなようにやってきたスタイルを貫くしかない。もう小金が溜まったので、別に原稿を書かなくても生きていくだけなら大丈夫でしょう。でも、それじゃあ生きていてつまらない。要するに今書いているのはお金を儲けるためじゃなく、ビョーキだから書いている。

SFの世界で勝負するために10年欲しい

北方 贅沢をするために稼ぎたいという気持ちがエネルギーになって書いていた時期もあったけど、正直、もうそれは燃料にはならない。やっぱり、誰が見たってどうしようもなく好きだから書いているんだな。

夢枕 僕はまだハードSFに未練があって、死ぬまでにそれをどうしても書き上げたいんですよ。

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北方 山の小説も釣りの小説も書いた。獏ちゃんなら書けるでしょう。

夢枕 いや、『三体』というすごいSFが登場しちゃってね。あれを読んだら、書く以上はこれを超えなきゃだめだと思ってハードルが余計に上がりました。今やっている連載を全部終えるのにあと10年、SFの世界で勝負するためにさらに10年欲しいですね。

北方 俺が書いている『チンギス紀』はあと2年くらいで完結で、続きを書いたらフビライの蒙古襲来になる。どこまで行くか分からないけど。

夢枕 寿命の限り最後は中国の文化大革命まで書いてくださいよ。

(初出:オール讀物2022年1月号、撮影:志水隆/文藝春秋)

きたかたけんぞう 1947年佐賀県生まれ。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、91年『破軍の星』で柴田錬三郎賞、2004年『楊家将』で吉川英治文学賞、16年菊池寛賞、20年旭日小綬章受章ほか、著書・受賞多数。

ゆめまくらばく 1951年神奈川県生まれ。77年作家デビュー、以後多くのシリーズを発表。98年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞、2011年『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞、舟橋聖一文学賞、翌年吉川英治文学賞を受賞。

仰天・俳句噺

夢枕 獏

文藝春秋

2022年6月27日 発売

「締め切りギリギリまでK–1のノックアウトシーン動画を延々と観てる」夢枕獏と北方謙三が語る“がん治療後”も“執筆がやめられない”ワケ

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