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「60になったときに、この仕事をやってるのは嫌だなって」50歳でホタテビキニを着て“自撮り”作家へ転身…女性写真家(56)が語る“吹っ切れた理由”

マキエマキさんインタビュー #2

2022/06/05

ーーロケハンの苦労を知らずに簡単に聞き出そうとするのは、ちょっとアレですよね。 

マキエ SNSで気軽に「お、ここはどこですか?」とか聞かれると、ちゃぶ台ひっくり返したくなりますよ。 

「ピンク映画」シリーズより(マキエマキさん提供)

創作パートナーでもある、夫との関係

ーー創作活動にはマキエさんの夫の協力も大きいと聞いていますが、出会いというのは? マキエさんが抱いている男性への不信感に、引っ掛からなかった男性というわけですよね。 

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マキエ 私より10歳下です。仕事先の会社のデザイナーだったんです。 

 なんか、男臭くないんですよ。私に対して「黙って、あなたについていきます」みたいな人で。だから、一般的な女性からすると、ちょっと物足りなく感じるかもしれないですね。 

ーー女性に性器の写真を送ることはもちろんしないし、「グヘヘ……」といったところがない。 

マキエ あんまり感じさせないですね。あるのかもしれないですけど。 

ーー夫と創作のパートナー、このあたりの境目は曖昧になっているのですか。 

マキエ どうなんだろう。分けてる時もあれば、分けてない時もあるかな。ただ、図録とかグッズのデザインなんかは頼んでるので。そういう時は、夫はデザイナー、私はクライアントになってますね。 

 

 夫も昭和的な場所とか古い建物、廃墟が好きなので「今度、撮影でここ行きたい」なんて言ってくるんですね。それで許可とれないから却下とか。作品のテーマ的な部分やアイデアまでは介入してきませんけども。 

衣装代、旅費、ギャラリー代…活動にかかる「コスト」

ーー商業カメラマンをやっていた頃と比べると、経済的にはどんな感じでしょう。 

マキエ 前の方がいいです(笑)。 

 コロナ前は、請け負い仕事も細々と続いてたんですよ。マキエマキだとバレて切られた会社も多かったんですけど、それでもいいよって発注してくれるところもあって。イベント関係の撮影がメインだったんですけど、それがコロナでパタッと。 

 そうなると収入源はマキエマキとしての作品しかないわけですよ。コロナになってからは、作品、補助金、給付金で、なんとかしてる状態ですね。 

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