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ドイツが80年育てた「ナチス土下座戦略」が終わる? ウクライナ戦争で“敗戦国”が失いつつあるものとは

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「ドイツや日本が80年かけて育てたアイデンティティが…」

――たしかに、「ナチスって言うやつがナチス」的などっちもどっち論に引きずり込まれそうな気配はあります。

マライ そうなんです。ドイツが今回の戦争で失った最大のものは、実はそれかもしれないと思っています。インフラ整備の機会を失ったことや、ウクライナ支援のための支出、実は軍事的にボロボロだったことが世界にバレた以上に、「悪役ナチスを全否定して反省しつづける」という戦後ドイツを支えた原則の説得力が失われるのは本当に怖い。下手をすると「ナチスはそんなに悪くなかった」というような勢力さえ大きくなりかねないですから。

ウクライナはペット大国でもある 撮影・宮嶋茂樹

――第二次世界大戦で負けた国として、日本にとっても他人事ではない悩みな気がします。

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マライ 今回の戦争の最大の被害者はもちろんウクライナですが、ドイツや日本が80年かけて育ててきたアイデンティティへの影響もかなり大きいと思います。ロシアはある意味で国ごとカルト化してしまいましたが、それにドイツのネオナチや日本の陰謀論者のような人たちが呼応していく可能性がある。本当に気が重くなりますね。

ドイツが80年育てた「ナチス土下座戦略」が終わる? ウクライナ戦争で“敗戦国”が失いつつあるものとは

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