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「中国人はあまりひじきを食べないから(笑)」

 敷地内へ入って、加工場の階段を上り、上から「カーペットひじき」を撮影してみた。やはり、車が通ったような跡がある。

写真中央よりやや上の位置にタイヤ痕が

 改めて、ひじきを近くで見てみると、ヒモやビニール袋などがまとわりついている。ゴミだらけなのだ。工場内で寝転がっている老女に話を聞いてみた。

天日干しされているひじきに近寄ってみると……

「地面にひじきを敷いて大丈夫かって? 大丈夫よ。中国人はあまりひじきを食べないから(笑)。ここのひじきはほとんど日本へ出すのよ。ここは80年代から日本へ輸出している老舗なんだから。日本以外にも韓国へ出荷しているわ。あたしたちの仕事は、ひじきに付いたゴミを取り除くことなの。投げ捨てられた海のゴミやビニール紐なんてものが多いわね。夏は暑いから作業着なんて着ないわ」

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 老女によると、会社の敷地全面に渡ってひじきを干すため、「トラックが商品の上を通ることは当たり前」だという。

 加工場内を歩いていると、ゴミ取り作業をしている男性たちがいた。

 

 緑色の麻袋にゴミを取ったひじきを入れていたが、商品が入った袋をクッションソファがわりにして座っている。袋に入っているとはいえ、おせじにもキレイな服装ではない従業員のイスとして扱われるのは耐え難い光景だった。

スーパーの惣菜、弁当、お通しで出されるひじき煮は中国産が多い

 日本に流通するひじきは、約9割が外国産だと言われている。財務省の貿易統計(輸入)を見ると、2016年のひじきの輸入量は約4860トン。韓国から約1950トン、中国から約2910トンのため、この2カ国で輸入ひじきは占められている。およそ5分の3が中国産ひじきだ。韓国産ひじきは、約2000トンの輸入量に対して、金額約33.7億円。一方、中国産ひじきは約3000トンで約16.6億円。いかに安価な中国産ひじきが大量に日本へ入ってきているかよくわかる数字だ。2000年代前半は、韓国産ひじきが輸入量で中国産を大きく上回っていたものの、ここ数年は安い中国産に押されており、逆転を許している。国産ひじきは高価だ。乾燥「芽ひじき」は1キロあたり7000円前後する。一方、中国産は1500円~1600円程度だ。

 安価飲食チェーンのお通しで出されるひじき煮などは、その多くが中国産だろう。他にも、スーパーの惣菜や弁当のひじきも同様のケースが多い。