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20畳に巨大な窓付きの「商店街ビュー」3LDKの部屋
昭和中期に栄華を極めた商店街。「濡れずに買い物ができる商店街」を目指してアーケード化を行った地域も多いが、それがかえって暗い印象を生み、斜陽化に拍車がかかったという見方もある。
近年は買い物客の減少もさることながら、権利者の高齢化などから更新が進んでおらず、地方都市を中心として「シャッター街」が社会問題にもなっている。そんな状況に一石を投じるリフォーム物件の間取り図がこちら。
商店街に「店舗兼住宅」は多いが、この物件の場合は異なり、元となる2階部分は商店で、居住用ではなかった。それを大きくリフォームし、広々とした3LDKを実現。天井に開口部を設け、ガーデニングも可能な中庭(インナーバルコニー)が生まれた。
最大の特徴は、アーケード街に面する巨大な窓である。見晴らすのは昔ながらの町並みで、別荘地のような「オーシャンビュー」や「マウンテンビュー」ではないが、独特の趣がある。
これは施主の希望で、自らも生まれ育った商店街に愛着があったのだという。夜になると家の灯りがこの窓から通りに照らして、生活のぬくもりを伝える。
なおこの物件は、1800万円という(住宅リフォームとしては)潤沢な予算の“気合いの入った”ケースだったことが報われたようで、「リノベーション住宅推進協議会」の選出する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」(2016年)に輝いている。
日本各地に多数存在するアーケード街の未活用物件だが、このような積極的な再利用が進むことはあるのだろうか。