「いつか試合で妹と戦うことになったら」「バチバチですよ」上野愛咲美女流棋聖（20）と梨紗初段（15）　天才姉妹が育った“両親の囲碁経験ゼロ”家庭

2、3年以内には姉に勝てるように頑張りたいです

——15歳と20歳、そろそろ“ライバル”感も出てくる感じがしますがどうですか？

愛咲美　そうですね、梨紗はもちろん、菫ちゃんとか福岡くん（福岡航太朗三段）とか、若手の勢いは感じます。最近はAI研究が進歩しているので、5歳差でもスタイルがかなり違って、「AIっぽい！」と思うこともあります。人間はどうしても石を助けようとするんですけど、AIは捨てる発想がうまい。若手のそういう捌く手を見ると、世代が1つ違うなとは思いますね。

——梨紗さんとしては、そろそろ私たちの時代だ！　みたいな気持ちはありますか？

梨紗　そうですね。2、3年以内には姉に勝てるように頑張りたいです。姉は囲碁に関してはとても厳しくて注意されたことも多いんですけど、私がプロになれたのは姉のアドバイスのおかげだとも思います。だから結構感謝していますし、ちょっと尊敬もしてます（笑）。今はまだ正直ちょっと差がありますけど、やっぱり追いついて勝ちたい気持ちは大きいですね。

——愛咲美さんにとっての梨紗さんの存在はどうでしょう。

愛咲美　癒しですね。試合で負けると辛くなって沈んじゃうことがあるんですけど、家へ帰って妹がいるとそれだけでだいぶ和みます。「大丈夫っしょ！」みたいな顔をしてるだけなんですけどね（笑）。そういうところがすごくありがたいなと思います。

——でも、もし対局することがあったら……。

愛咲美・梨紗　そのときはバチバチですよ。

撮影＝末永佑樹／文藝春秋

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