——てっきり毎日2人で練習しているのかと思っていました。
愛咲美 妹だと闘争心がわかないんですよ。あと、私は家だとどうしても適当になっちゃうので、あまり勉強にならないんです。でも、いつか試合で妹と戦うことになったらバチバチでいくと思います。今は同じ部屋を仕切りで分けて使っているので、研究がバレないように前日は違うところに泊まるかも。
梨紗 えー、そんなに?(笑)。 私はいつも姉に勝ちたいと思っているので、家でやるときも結構気合いを入れて打っちゃいます。もし試合で当たるとなったら2カ月前くらいからめちゃくちゃ研究しそうな気がします。
愛咲美 梨紗のがバチバチじゃん!
「そこ狙うの!?」と姉に驚く梨紗初段
——その一戦はぜひ見てみたいです。2人は同じ環境で育ち同じ師匠につきながら、囲碁のスタイルは違うように見えます。愛咲美さんのスタイルは“ハンマーパンチ”と呼ばれることもありますが本人的にはどういうイメージなのでしょう。
愛咲美 普通は、試合で形勢が良くて有利だなと思ったら冒険せずに寄せ(陣地の境界をはっきりさせる段階)に入って手堅く“勝ちコース”を目指す人が多いんです。でも私は有利に見える時でも厳しく打つ方で、取れそうな石があるなら全部取りにいくタイプ。そういうところを言ってもらえているんだと思います。
梨紗 私から見ると、姉は「そこ狙うの!?」っていう石を狙いにいくことが多い感じがします。しかも“読み”が正確なので、対戦相手にしてみたら警戒してなかった石がいつの間にか取られてる! みたいな。そこが強いところだと思います。
——梨紗さんのスタイルはどうでしょう。
愛咲美 うーん、梨紗は器用なタイプで、わりと何でもできる棋風ですね。私みたいに大石を取るというよりは、ちょこちょこ石を取っていく感じ。
梨紗 冷静に、落ち着いて打とうという意識はありますね。とは言っても戦闘的なところもあって、攻めどころだと思えば一気に取りにいくこともあります。