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〈写真多数〉「す、すごい迫力だ…」常識とはかけ離れすぎた設計! 三鷹市郊外でひときわ目立つ珍奇建築「三鷹天命反転住宅」に泊まってみた

2022/06/27

三鷹天命反転住宅で暮らし続ける人の室内環境

 実際にこの空間で生活している人は、いったいどんな風に室内を活用しているのか。なんとも見てみたい。三鷹天命反転住宅支配人の松田さんに相談したところ、彼らが建設当初から利用している事務所を見学させてもらえることになった。

物件を管理し続けるコーデノロジスト株式会社の事務所

 早速、株式会社コーデノロジストの室内にお邪魔する。部屋の構造は今回宿泊した303号室とは微妙に異なるものの、生活におけるさまざまな創意工夫が見てとれる。

雑然としているように見えて必要なものが必要な場所に収まっているようでもある

 キッチン周りの収納はまるで備え付けであったかのように生活にフィットしている。平面床の部屋にはスチールの本棚を設置し、ワークスペースもバッチリ確保。

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心地よく過ごせそうなリラックススペース

 室内にもともとある梯子は簡易的な本・書類置き場となっていて、球状の部屋にはクッションが敷き詰められていて、リラックススペースとして完璧……。そこかしこに生活における工夫があり、思わず感嘆する。建築そのものと生活する人とが、相互に影響し合った結果として、この快適な環境が構築されているのだ。

夜になると妖しげな雰囲気が漂い始め…

 鼻息荒く、夢中で探訪していると、すでに陽が沈みかけていた。

 夜になり、照明を落とすと部屋の表情が途端に変わる。どこか妖しさも感じるような雰囲気だ。

 
やさしい日差しが差し込んできていた昼間とは雰囲気が一変

 室内に平面な場所がほとんどないからか、床の凸凹で足ツボを刺激されたからか、日頃から運動不足な私はすっかりぐったり。簡単に食事を済ませ、事前に用意してもらっていた寝具を敷き、床に就いた。

宿泊にあたって用意してもらっていた布団を敷いた「tatami room」

 翌朝、チェックアウトのために、再度101号室を訪ね、宿泊して体感した思いを支配人の松田さんに伝えると、

「結局のところ三鷹天命反転住宅の魅力は『来ないとわからない』ですよね。なので、私達もどうすれば、よりよく体験していただけるのかなということを日々考えています」と思いを聞かせてくれた。

三鷹天命反転住宅 外観

 記事というかたちで建物を紹介している立場でありながら、「たしかに、三鷹天命反転住宅の魅力は来て、体感しなければなかなかわかりづらいかもしれない」とつい思ってしまう。それだけ刺激的で不思議な一日を過ごすことができたのだ。いかに“当たり前”にとらわれていたのか。いかに身体に無意識で日々を過ごしていたのか……。可能な方はぜひ一度現地を訪れて体験してみてほしい。

 とはいえ「宿泊はちょっとハードルが高い……」と思われる方もいるかもしれない。そんな方に朗報。今回は宿泊利用について紹介したが、三鷹天命反転住宅では、定期的な見学会(大人 2800円/小・中・高校生 1000円/幼稚園以下 無料)を実施している。

 また、2021年3月よりテレワークでの利用プラン(平日火曜~金曜/11:00~17:00/1~4名/1万1000円[税込])も始動。五感が刺激され続ける、独創的な室内で仕事をすれば思わぬアイデアが降りてくるかもしれない。

© 2005 Estate of Madeline Gins.  Reproduced with permission of the Estate of Madeline Gins.

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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