国民的英雄の宣言に、メディアの批判の矛先は…
こうした状況下で、韓国メディアも「暫定中断」という用語を用いて報じつつ、グループ活動再開の見通しについては明言を控えている。一方で、韓国の国民的英雄であるBTSのニュースの余波は拡大を続け、いつの間にかK-POPシステムに対する批判にまで及んでいる。
『朝鮮日報』は6月15日の電子版で、「K-POPの工場式アイドル量産システムが今回の事態を招いた」と分析。「自らの経験や考えを音楽で伝えるアーティストとしての(BTSの)アイデンティティと、所属事務所の工場式システムが衝突した」としたうえで、次のように専門家たちの話を引用した。
「全世界の若者たちに夢と希望のメッセージを伝え、本人たちが夢を叶えていく姿を見せてきたBTSだが、自らがアイドル産業構造の中で工場のように無理やり音楽を作り出していたことが明らかになった」
さらには、所属事務所がアイドルを眺める観点を「『企画商品』ではなく『アーティスト』に変えなければならない」という指摘も紹介している。
『中央日報』は6月16日の電子版で精神的、身体的疲労と軍服務問題をグループ活動中断宣言の理由と分析。同時に、次のような見方を示した。
●同年代の悩みを盛り込んだ歌詞で「メッセージアイドル」と呼ばれてきた彼らが、グローバルヒットを飛ばす中で、自分たちの話ではなく大きなメッセージを発信するようになってアイデンティティが混乱したのではないか。
●世界的なスターに浮上して以降、ファンとの直接のコミュニケーションを減らすことの申し訳なさが映像にもあらわれているのではないか。
『東亜日報』も、6月16日の電子版で「BTSの発言は既存の大手事務所が構築してきた現在のK-POPシステムを狙った批判という解釈も出ている」と報じ、同時にアーティストの自律的活動に対する議論が必要だという見解を紹介。「国威発揚の理由で目をつぶってきたK-POPシステムの陰を振り返る機会にしなければならない」という専門家の意見を伝えている。