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イギリス王室の人気を支える“オープンすぎる”SNS戦略 日本の皇室が学ぶべき危機感とは「小室眞子さんの騒動があっても、何も変えようとしない」

2022/06/23
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小室眞子さんの騒動でも危機感を感じていない?

 2021年の元日、新年参賀が開けなかった際の天皇皇后からのビデオメッセージにも愕然としました。動画は宮内庁のサイトにアップされたのですが、公開時間はなんと午前5時半。ゴールデンタイムのニュース番組で放送すべきでしたし、サイトにアップするにしても、TwitterやInstagramに広告を出してYouTubeで公開すればもっと幅広い世代に届いたことでしょう。しかし、この謎の早朝アップは今年も踏襲され、なんの反省も見られませんでした。

太平洋戦争中の激戦地の慰霊も行った平成の天皇陛下(写真は2015年・ペリリュー島)©JMPA

 つまり宮内庁は、現在の広報体制や皇室に対する国民の視線について何の危機感も持っていないということです。スペイン国王の来日や小室眞子さんの騒動があっても、何も変えようとしない。昨年開かれた皇室に関する有識者会議では「広報の強化」という話が出ましたが、具体的な動きが一向に聞こえてこないのがその証拠でしょう。

 日本で国民が皇室に親しみを持つ割合は現在7割を超えると言われています。しかしそれは「支持率」ではなく、さらに若年層の無関心がこのまま広がれば、その足元はおぼつかなくなります。天皇陛下や上皇陛下も、国民からの支持こそが皇室の礎であることを折りにふれてお話しされてきました。

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2020年、秋篠宮さまお誕生日に際してのご近影 宮内庁提供

 今こそSNSを整備し、政府とは違う皇室ならではの役割をアピールすれば、皇室への好感度や支持率は自ずと上がってくるでしょう。

 自分たちの功績をアピールする広報活動については、「日本らしさを損なう」「奥ゆかしさが美徳」という反対意見も根強くあります。皇室を熱心に支持するいわゆる高齢者の保守層ほど、その声は大きいです。しかし時代の変化に適応する部分も必要で、SNSへの進出はその第一歩です。

愛子さまを抱いて宮内庁病院を退院される雅子さま ©JMPA

 もちろん皮肉やユーモアの伝統が強いイギリス王室とまったく同じことをする必要はなく、日本の文化にのっとって皇室独自の広報戦略を作るのが最適解になるでしょう。幸い日本には豊かなサブカルチャーがありますし、ドラえもんやポケモンと天皇陛下が共演されたとしても、現在の国民から反対の声が上がるとは思えません。

 令和への改元では皇居の前に大勢の人が集まるなど、まだ皇室への支持が分厚く存在するうちに手を打つ必要があると思っています。

イギリス王室の人気を支える“オープンすぎる”SNS戦略 日本の皇室が学ぶべき危機感とは「小室眞子さんの騒動があっても、何も変えようとしない」

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