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炎上気味、就職困難でもアウトロー支援を続ける“ヤクザ博士”の波乱万丈すぎる過去「幼い頃、街角が家族だった」「専門学校が半グレに乗っ取られた」

炎上気味、就職困難でもアウトロー支援を続ける“ヤクザ博士”の波乱万丈すぎる過去「幼い頃、街角が家族だった」「専門学校が半グレに乗っ取られた」

ヤクザ博士 廣末登氏インタビュー#1

genre : ニュース, 社会

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博士論文で研究した「ヤクザの真実」

――廣末さんもそこで居場所を見つけたこともあった。

廣末氏 20代の頃、スーツ販売の顧客にはヤクザも多かったんです。刑務所から出所する際に着る“放免スーツ”を作ってくれますから。彼らは刑務所に入ると体型が変わってしまうので、出所のたびに作ってくれるお得意様でした。

 ヤクザになる若者はは地域社会に居場所がないとされていましたが、いやいや、地域密着型じゃないかと。ヤクザの研究をしたいな、と思ったんです。学問の世界では、アンダーグラウンドの話はすごく表層的だなと感じていたんです。

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 大学院に通いながら、またいろいろな仕事をしましたよ。大学に少し変わったバイトなどの紹介もあって、海洋調査助手とかやりましたね。浅瀬で生物を調べるんです。あとは道路を通る人をカウントしてカチカチ、クレカの勧誘……。

――そして博士論文を書き上げました。最初の著作となった「若者はなぜヤクザになったのかー暴力団加入要因の研究」ですね。

 

廣末氏 大学院時代の暴力団加入研究の集大成です。博士論文は元ヤクザ牧師の方に協力を仰ぎました。大阪の教会に住み込みをして更生しようと頑張っている元ヤクザの方から話を聞いた。一次情報を自分の目で見て、耳で聞かないことには研究ができませんから。思えば、だまし討ちのように洗礼を受けていたのが役に立ちました(笑)。

 最初は「なんだこいつは」と相手にされませんでしたが、5時に起きて掃除することから丸一日、彼らと同じ生活をして、粘り強く声をかけた。すると、向こうにも熱意が伝わり、徐々に関係ができてくるんです。「若者はなぜヤクザになったのか」では、暴力団加入の個人的要因と社会的要因を研究しました。

――ヤクザにならざるをえない要因がある。

廣末氏 彼らはまず家庭環境が厳しいのです。貧困に加えて、文化的な資本もない。私の場合は身近に本があったのでよかった。社会的要因としては、ならず者たちは同類項を作るんです。門限のない子供たちが集まるような感じで、そこには先輩もいてさまざまな悪さのスキルを磨くと同時に、アングラ社会のルールを身に付けていく。それから暴走行為が始まり、ヤクザになっていくというのが典型的なパターンでした。(#2へ続く)

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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