母親が最後に会ったのは10年前に事件を起こした時
4月1日に出所してから、わずか2カ月半ほどでの犯行だった。山梨県北杜市にある長久保容疑者が育った実家を訪ねると、容疑者の母親と弟が暮らしていた。「被害者の方には本当に申し訳ない気持ちです」と何度も頭を下げながら現在の心境を語った。
「埼玉での事件はテレビで知りました。被害者の方のケガが早く治ればいいですが、心に傷も残っているでしょうし本当に可哀想なことをしてしまったと思います。ただ息子にはもう10年会っていませんし、40歳も超えているので面倒をみる気にもなりません。逮捕された時にVサインをしているのも見ましたが、何のアピールだかわからない、本当にバカでただただ情けない。引っぱたきたくなりました」
長久保容疑者と母親が最後に会ったのは、10年前の事件で逮捕された時だった。そのときも母親は「話が通じない」と感じたという。
「2012年に事件を起こした時に名古屋の刑事さんから連絡があり、『来てください』と言われて拘留されている場所へ行きました。10年以上ぶりに息子と会いましたが、髪もボサボサでげっそりして別人のようでした。しかも私が何を話しても『ゴメン』としか言わない。『いい加減にしてほしい』とは伝えたのですが、結局のところあの子は気持ちが弱いんだと思います。自分が思うようにならないと、事件を起こしてしまう。その面会以降は一度も会っていませんでした」
それでも母親にとっては、長久保容疑者は初めて授かった子供だった。幼少期は家業の農作業を手伝うなど、親思いの一面もあったという。
「うちは農業を営んでいるんですが、息子は小さい頃から泥だらけになって稲刈りや田植えを手伝ってくれました。初めての子でしたから必死で育てたんですけど、気に入らないことがあると地団駄を踏んで全身でイライラしていることをアピールすることも多かった。人のせいにするクセも治らず、『兄弟喧嘩すると僕だけ怒られる』とよくグチっていました」