2022年7月10日、参院選が終わりました。候補者・政党関係者各位、投票にいらした有権者の皆様、本当にお疲れさまでした。
その最中、日本憲政史において最長宰相であった元総理大臣・安倍晋三さんが、凶弾に斃れるという大変な事件が起きてしまいました。銃撃した人物にいかなる個人的な事情があるにせよ、暴力で世の中を変えるようなことがあってはならないし、我が国の民主主義を守るために議論をさらに重ねていく必要を感じます。選挙戦終盤、白昼堂々の安倍さんの射殺はあまりにも衝撃が大きく、また、社会的に大変な動揺をきたしたのではないかとも思っています。
志半ばで神の御許に召された安倍晋三さんの魂に限りない平穏が訪れることを、心からお祈り申し上げます。
岸田文雄政権への穏やかな信任
公示日の6月22日からロングラン選挙戦となった今回の参院選ですが、自由民主党と公明党による連立与党側が勝利して、また参院では日本維新の会、国民民主党を含めた改憲勢力が全体の3分の2を超えました。今回は政権選択選挙ではありませんが、国民の総意としては、穏やかに岸田文雄政権への信任があったうえで、長ければ3年後となる次の衆院選まで自公政権にフリーハンドが与えられた形になります。
本当にそれが有権者の、日本国民の民意なのかは、よく分かりません。
ただ、民主主義である日本において、この公平な投票のシステムにおいては、投票結果を最大限重視したいと思います。
今回の選挙戦を見る中で、やはりこの「民意」は何なのか、この結果を受けて政治はどこへ向かうのか、考えたいテーマを3つ、絞ってみました。
一人の有権者、国民として、ぜひご自身のお考えとともに整理してみていただければと思います。
(1)岸田政権は、憲法改正へ向けて大義名分を得た選挙となった
実のところ、国民はあまり憲法改正について興味がありません。
NHK出口調査においては、投票に行った有権者の45%が「憲法改正するべき」、25%が「憲法改正の必要はない」と答えました。しかし、注目するべきは投票した有権者の30%が「分からない」と答えている点です。
憲法改正論議においては、定期的にグループヒアリングを繰り返していますが、その中でもこの「分からない」というのは大事な分析対象になっております。仮に改憲の国民投票が行われることになっても、おそらく、この「分からない」人のほとんどは投票箱に足を向けないのではないかとは見られます。ただ、なぜ「分からない」のか、それが分かれば国民投票に行って改憲賛成なり反対なりの意見を持つかもしれません。
この「分からない」は、大きく分けて「憲法改正の中身がよく分からない(ので判断できない)」こと、または「憲法改正がむつかしいので理解ができない」が混在しているのです。