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質問する記者を教団関係者が撮影

 会場内に「招かれざる客」が紛れこまないように配布されたストラップの着用を求められ、記者やカメラマンの動きに教団関係者が終始目を光らせる。

 後列の席には、SPを彷彿させる黒ずくめのスーツを着込んだ教団関係者が十数人陣取り、うち1人が質問する記者にスマートフォンを向け、撮影している様子もうかがえた。

 田中会長は冒頭、安倍氏に「心からの哀悼の意を表するとともにご冥福をお祈りする」として黙祷した。

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教団トップの田中富広会長(左)と澤田拓也総務局長は壇上で黙祷を捧げた

 そして、事件について「この度の蛮行は決してあってはならない行為であり、強い憤りを感じている」とし、「宗教指導者の1人としてこのような重大な結果が生じてしまいましたことを大変重く受け止めている」と述べた。

 そして、早々と核心部分について触れた。

 山上容疑者が教団の信者ではないと強調した上で、「母親は当法人の教会員である。これまでも1カ月に1回程度の頻度で教会の行事に参加してきた」として現在も山上容疑者の母親が信者であると明らかにした。

山上容疑者宅への家宅捜索は7月8日に行われた ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

「高額で献金されてきた方々は、かつてもいらっしゃる」

 さらに「報道に際しては、正確、公正、客観的な取り扱いの上、事実に反する内容、憶測に基づいた記事を出すことがないよう、事前に直接取材して情報を得て下さるようにお願いする」とメディアを牽制した。

 犯行動機を解明する上での焦点のひとつとなっている「献金問題」については、「現在警察が捜査中であると思われるので、この場での言及は避けさせて頂く」と述べるにとどめたが、その後の質疑では質問が集中した。

 田中会長は、記者団からの「多額の寄付を強いられることはあるのか」との問いに対して、「月例献金」「礼拝献金」「無記名献金」などさまざまな献金があるとした上で、「ご本人の意思で献金されるが、額は本人の信条に基づいて献金されていると受け止めている」とあくまで自由意思による献金であると強調した。

 また、「何千万もの高額の献金はあるのか」との問いには、「高額で献金されてきた方々は、かつてもいらっしゃる」と認めた。その上で、ノルマを課すなど献金の強要は否定した。

統一協会が開いた記者会見の様子

 会見でのメディアの取材規制についても質問が飛んだ。

 田中会長は、「犯人の動機の解明がなされきれていない中で様々な憶測が飛び交うということは、決して本人、ご家族親族の心中を察すれば、極力控えて頂きたいという思いがある」とした上で、「メディアの一部は当法人の名前を前面に出して報道している」と説明。

 教団の存在が報道で明らかになったことで、「数カ所の協会に心ない電話があり、メディアからの心ない言葉、取材攻勢を受けている」と被害を訴え、「それなりに信頼できるメディアのみなさまに来ていただいた」と“選別”の意図を明かした。