寝苦しい熱帯夜や、コロナ禍で運動不足がたたりつい夜更かし…、と質の高い睡眠をとることは難しいもの。しかし、快適な睡眠はダイエットにもつながります。医師らが語る「やせる睡眠」(「週刊文春WOMAN」2021年夏号)を全文転載します。(全2回の2回目/前編に続く)
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自己流でまずは夜8時に寝ることから始めてみた
睡眠を見直すことで、1年で10キロのダイエットに成功したのが、元ミス日本で睡眠コンサルタントの友野なお氏だ。
「28歳の頃、会社を辞めて仕事を探していた時に、体調を崩してしまったんです。ストレスを抱え、パニック障害も発症。恐怖や不安から悪夢でうなされ、全然眠れませんでした。食生活も乱れ、あっという間に体重は15キロ以上増えて……。それでも睡眠時間を削って、一日中パソコンで仕事探しをしていたら、母から『とりあえず寝なさい、ちゃんとした生活をしなさい』といわれ、寝ることにまったく意識がいっていなかったことに初めて気づいたんです」
当時を振り返ると、寝るのは明け方。起きる時間もまちまちで、眠りの質はとても悪かったという。
「今みたいに睡眠の情報がほとんどなかったので、自己流でまずは夜8時に寝ることから始めました。でも最初はよく眠れなかったり、逆に体がだるくなったり、余計なことを考えて不安になったり。床につく時間を少しずつ調整した結果、夜中の12時から朝7時にかけての7時間が、自分に合っているとわかりました」(友野氏)
よりよい睡眠のために重要なこと
睡眠の質が向上し、食への向き合い方も変わった。
「やせる前は、スナック菓子やアイス、ケーキ、チョコレート、コンビニのホットスナックなどをダラダラずっと食べているような状況でした。もともと食べる方ではあったんですけど、ストレスや不安の解消が完全に食べることに向いていたんですね。
睡眠が改善してからは、食生活はガラッと変わりました。気がついたら『全然お菓子を食べなくなった』『そういえば、今週マクドナルドのポテトを食べていない』といった具合に、ストレスをためることもなく、嗜好が変わっていましたね。眠ることで必要以上に食べなくなったり、脂っこいものや糖質が高い食べものに対する欲求が減るということは、様々な研究でもわかっています」(友野氏)