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「スプーン曲げはインチキか」ユリ・ゲラーを追ってアメリカへ…若きMr.マリックが挑んだ「超能力の謎」その真相は

Mr.マリックさんインタビュー #2

2022/07/16
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 ただし、これがマジックかといったら、そうじゃない。じゃあ超能力かといったら、それでもない。で、私がテレビに出るようになった時に、名前を付けたほうがいいだろうということで「超不思議現象」と銘打つことに。ゴールデン番組にも出るようになってからは、放送作家の方たちと一緒に考えて“超越的マジック”という意味を込めて「超魔術」としました。

テレビプロデューサーに「バカもん!」と言われたわけ

――“超魔術”以前にも『新春かくし芸大会』(フジテレビ、1964~2010年)で、テレビに関わっていたそうですね。

マリック 私のショップに『新春かくし芸大会』のディレクターが来て、マジックを覚えてはタレントに教えていたんです。でも、だんだんとマジックも高度になっていくし、それをディレクターが覚えるのも辛くなっていく(笑)。「スタジオに来て、直接教えてもらえませんか?」「じゃあ、行きますよ」と。当時は予算もあったから、マジックのスケールがどんどん大きくなって。

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©文藝春秋

 最終的には、人気アイドルにジェット機を消させてやってくれと頼まれました。ジェット機を消すなんて、デビッド・カッパーフィールドじゃないんだから。「メチャメチャお金がかかりますよ」と言ったら「いくらかかってもいい」と。さすがにヘリコプターになりましたけど、ヘリも飛行場も手配してくれて、15分ぐらいのロールなのに大変な予算をかけてくれましたよ。

――景気のいい話ですね。

マリック すごいでしょう。それで「これを教えたのは私。ということは、私もできるということか」と思って、「今度から、私にやらせてもらえませんか」とプロデューサーに言ったんです。すぐさま「バカもん! 無名のおまえにテレビ局が金を出すわけないだろ!」と怒られてね(笑)。

 そこで、またスイッチが入った。誰もが知るレベルまで知名度を上げないかぎり、そんなスケールのものはやらせてもらえない。大掛かりなマジックを考えて教えたのに、それを自分はやれないなんて悔しいじゃないですか。それで目覚めた。表に出てやろうって。で、ショップもやめて。

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