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2022/08/08

source : 文春文庫

genre : エンタメ, 読書, ライフスタイル, 娯楽

 子供が親に反抗し、必死で巣立ちをしたいと思っているのに、親が子離れを出来ずに色々と世話を焼いてしまいます。もしかすると、キタキツネで言えば、この時こそ、親が子供から、子供は親から離れる時期なのかも知れません。

 さて今回は、ある男性の反抗期の頃のお話です。

明るかった同級生が暗い雰囲気に…

 私の反抗期は、中学2年生あたりでした。髪の毛を脱色したり、喧嘩をしたり、遅くまで家に帰らなかったりと、親にはかなり心配をかけました。

 そんな反抗期真っ只中のことです。私は学校へ行くと、決まって桐本君という男の子を虐めていました。学校で顔を見るなり「顔が鬱陶しいから学校へ来るな」などという暴言は当たり前で、手を出す事もしょっちゅうありました。

 桐本君は、1年生の頃は明るく、特に虐められるタイプではなかったのですが、2年生になる頃には、何故かとても暗い雰囲気になっていたんです。それが理由で虐めるようになったのかどうかさえ、今となっては覚えていません。恐らくその頃の私には、特に理由はなかったんだと思います。ただ自分の憂さ晴らしで、彼を虐め始めたのかも知れません。

写真はイメージです ©iStock.com

 そんなある日、私は学校で、担任の先生から呼び出しを受けました。理由は、桐本君を虐めているのではないかというものでした。私は虐めなんかしていないと、何度も否定しました。しかし先生は、何人かの生徒から虐めの事実を聞いていると引き下がりません。そこで私が、桐本君本人に聞けば良いと言うと、先生は本人も虐められていると言っていた、と言うのです。

 私はこの日、反省文と、虐めをしないという誓約書を書かされました。しかし、その頃の私に、反省文や誓約書は何の意味も持ちませんでした。そんな事よりも、桐本君が先生に言いつけた事に腹を立てていました。