一ーたしかに趣味でやるには相当な覚悟が必要ですね。
神谷 そうなんです。それに闘牛だけで食べていくことは基本的には不可能です。大会はありますけど、賞金は20万円くらい、大きい大会だと60万円くらいですが、それ以上に維持費がかかります。
一ーちなみに闘牛1頭につき、管理費はどのくらいかかるのでしょうか。
神谷 1ヶ月10万円~15万円くらいです。ただ病気の治療などは別のため、もっとかかる月もあります。
「牛舎で初めて会った時にビビッときて、私が育てるって宣言したんです」
一ーそんな大変な世話を見てきた神谷さんが、闘牛に目覚めたきっかけはなんでしょうか。
神谷 こうちゃんとの出会いです。強い牛がいるということで、父が鹿児島県大島郡の徳之島からこうちゃんを連れてきました。牛舎で初めてこうちゃんに会った時にビビッときて、私が育てるって宣言したんです。
一ーどんなところにビビッときたんでしょうか。
神谷 顔、性格全てです。よく結婚するときに、ビビッと来たって人いると思うんですけど、私もそんな感じでした。それからどんどんのめり込んでいきましたね。
一ーちなみに闘牛は大体いくらくらいで取引されるのでしょうか。
神谷 ピンキリですが、20万円から500万円くらいです。大会で常に勝っている闘牛は高額で取引されますね。
こうちゃんはずっと勝っていた強い牛だったので、400万円以上でした。“殺し屋”という異名が付けられるくらい強くて、無敵の闘牛だったんです。9歳のときに徳之島からうちの牛舎にきました。
一ー徳之島には強い牛が多いのでしょうか。
神谷 めちゃくちゃ多いです。徳之島にはミスドもマックもないし、ファミマは島に3軒しかなくて。娯楽がない島なので、闘牛だけに集中できるんです。日本で一番闘牛が栄えているのは徳之島ですね。
最近は沖縄でも広がってきていますが、闘牛場の集客率は日に寄ってかなり違います。