〈あらすじ〉
1945年、第二次世界大戦直後のレニングラード。戦禍で街は荒廃し、市民も心身ともにボロボロになっていた。多くの傷病軍人を収容する病院で働く看護師のイーヤ(ヴィクトリア・ミロシニチェンコ)は、PTSDによる発作が原因で、育てていた男児を死なせてしまう。
そこに、男児の産みの親で戦友のマーシャ(ヴァシリサ・ペレリギナ)が戦地から帰還。息子の死を知ったマーシャは、新たな子を授かろうとするが、彼女もまた心身ともに深く傷ついていた。
〈解説〉
戦争で傷を負った2人の元女性兵士が、生きる希望を見つけようとする姿を描く。脚本・監督を務めたカンテミール・バラーゴフの長編第2作。第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にて、国際映画批評家連盟賞と監督賞を受賞。137分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆殺し合いの戦争が終わったからこそ浮きあがって来る心の傷。「産む性」である女たちならではの話。過不足ない語り口。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆戦争のあと、人体にはなにが起こるのか。古典的に見えて底力を感じさせる映像言語の新鮮な収穫。市電も鼻血もリアルだ。
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斎藤綾子(作家)
★★★☆☆生き延びるための後ろ盾を戦場でも終戦後も必要とする姿はリアル。心身に深い傷を抱えて互いを支え合うのは幻想か。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆歴史を生き直すことがリアルな身体感覚を伴った現在形の考察となる。90年代生まれの監督と役者達による貴重な成果だ。
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洞口依子(女優)
★★★★☆滑らかなカメラ、セット、色構成の見事さ、物語の闇に映える飽和した深い緑と赤、黄土色。若い世代による戦争映画。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『戦争と女の顔』(露)
新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中
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