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 食べ方としては、ツンブロードという大麦ベースのパンにバターを塗り、その上に皮を剥いでみじん切りにしたシュールストレミング、新じゃが、紫玉ねぎ、サワークリームを乗せて食べます。味もマイルドになりますし、アンチョビのようなしょっぱさと旨みが出るんです。

 あとは、スウェーデン人の同僚に聞いたものだと、「ヤンソンの誘惑」というポテトグラタンのような伝統料理がありまして。その中に、シュールストレミングを入れて食べることもあるそうですよ。

スウェーデン大使館の自動販売機で売られているシュールストレミング缶 ©平松市聖/文藝春秋

――やっぱり、そのまま食べるのではなく、可能な限り臭みを消して食べるものなんですね。どうして、スウェーデンではこの缶詰が食べられてきたのでしょうか?

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 諸説あるのですが、スウェーデンは寒冷の気候により農作物に適した土地に限りがあり、かつ冬が非常に長いので、保存食に頼っていた時代が長かったんです。

 16世紀ごろ、船乗りが保存のために、ニシンを塩漬けしていました。しかし、その当時、塩はとても高価なものでして。コスト削減のために塩を減らしたら、発酵がかなり進んでしまったんですね。それを港でフィンランド人に売ったところ、意外にも「美味しかったからもっと売ってくれ」と言われ、作り始めたと聞いています。今のような缶の形になったのは、19世紀頃らしいです。

スウェーデンならではの商品が並ぶ、世界に1つの自動販売機

――スウェーデンの食文化の中でも、シュールストレミング缶は定期的に大きな話題になりますよね。

 スウェーデンの食文化はなかなか知られる機会がないので、シュールストレミング缶を入り口にスウェーデンの「食」についても興味を持ってもらえたら、とても嬉しいですね。

 この自動販売機は、スウェーデンの食品をまとめて購入できる場所を作ろうと思って、設置しているんです。日本と言えば、自動販売機大国。食品の市場が大きい日本でスウェーデンの商品を買える自動販売機があれば面白いのでは、と企画しました。

スウェーデン大使館の入り口を抜けてすぐの場所に置かれている「TRY SWEDISH!」の自動販売機 ©平松市聖/文藝春秋

――いつから置いているんですか?

 2020年6月からです。ただ、新型コロナウイルスの感染が広がり始めたタイミングと被ってしまいまして。もともとは誰でも入れたんですけど、今はみなさんにお越しいただくことが難しくなってしまったのが歯がゆいですね。本来はもっと広げたいなと思っているのですが、現状はここのみ。イベントなどで開いているときにお越しいただければ利用することができます。 

――シュールストレミング缶ばかり注目を集めていますが、そもそもスウェーデンの商品にはどんな特徴があるのでしょうか?