辻 大きな軸としては、「サステナビリティ」「イノベーション」「クオリティ」の3つですね。実は、スウェーデンは「グローバル・イノベーション・インデックス」で常に上位にランクインしていまして、さまざまな産業でその革新性が評価されています。例えば、「Sproud」というプラントベースのミルク。黄エンドウ豆で作られています。
スウェーデンでは、ヴィーガンやベジタリアンが人口比率10%、Z世代に限ると30%ほどおりまして、環境意識が非常に高いんです。なので、スウェーデン国内では、牛乳からプラントベースミルクへの置き換わりが進んでいて、さまざまな商品が登場しているのが面白いですね。
辻 他にも、まだ輸入前の商材ですが、チョウザメのキャビアも興味深いです。本来、キャビアは、チョウザメのお腹を開いて卵を収穫し、それを熟成させることで作りますが、チョウザメを殺さずにキャビアを作る技術ができたんです。
人間の妊婦のように、超音波を当てたり、マッサージしたりすることで、出産させて、卵を収穫する。2年のサイクルでまた、収穫できるという非常にイノベーションな技術だと思います。最初は星付きのレストランに卸すような形から始まると思いますが、将来的にはこの自動販売機の中でも販売してみたいですね。
シュールストレミング缶だけじゃない「スウェーデン食」の世界
――ラインナップは辻さんが決めているんですか?
辻 はい。スウェーデンらしさがある商品を、さまざまなところから集めています。一部の商品は、IKEAやカルディなどでもお買い求めいただけるものですが、一方で日本でまだ展開していないような商品も並べていますね。
というのも、私たちの通常業務の中には、まだ日本では販売していない商品を扱ってくれる代理店探しもありますので、この自動販売機でテストマーケティングも兼ねているんです。
――なるほど。ここは、国内でもいち早くスウェーデンの商品を体験できる場所なんですね。人気の商品はどれでしょうか?
辻 最近だと、Bean to Barのチョコレートバーでしょうか。日系スウェーデン人のカカオハンターの方が、実際に産地に出向いて、カカオ農家とコミュニケーションをとり、直接輸入してスウェーデンでBean to Barで作っているという商品です。中でもカルダモンが人気。
辻 スウェーデンには、「フィーカ」という甘いものと一緒にコーヒーを飲む文化があるのですが、スウェーデン人はそのときにカルダモンのパンを食べるんです。そうした馴染み深いカルダモンを、チョコレートの中にも入れたもので。食べてみると、最初にふわっとカルダモンが香り、風味としてはまろやか。少しクセになる味で、人気があります。
あと、ジンジャークッキーもスウェーデンの定番ですね。そのままコーヒーと一緒に食べるのもいいですが、スウェーデンだとブルーチーズを乗せて食べていますね。
――すべてオススメではあると思うのですが、その中でも辻さんのお気に入り商品を教えてください。