初期から参加してる勢によるマウンティングも
会場内にサイトがあり、テントを張って過ごすことができる「キャンプフェス」は、また雰囲気が異なるという。5年前にはじめてフェスに参加したという高杉裕太さん(仮名・29歳)は語る。
「老舗のキャンプフェスに道具を揃えてはじめて行ったんですよ。フェスはもちろん、キャンプも初心者だったので四苦八苦しながらテントを建ててたら、通りがかったオジサンに『それじゃダメだよ』って声をかけられたんです。
てっきり、そのオジサンがいろいろ教えてくれるのかと思ったら、自分の道具を持ってきて『こういう道具を使わなきゃ』と見せびらかし始めて、それからこっちの服装から靴までダメ出しされて『俺は伝説の1回目から来てるから』と、ひたすら説教と自慢だけして帰っていきました」(高杉さん)
キャンプフェスには初期から参加してる仙人のような一派がいて、他の参加者とは、一切触れ合うことなく、ひっそりと楽しんでいるのだ。
「森の奥の方に常連同士でテントを建てて、近寄りがたい雰囲気を醸し出してますね。たまにそっちの方角からよくわからない音楽や謎の煙が風に乗って漂ってくることがありますが、あまり深入りしないようにしてます」(高杉さん)
とはいえ、このような風景はごく一部、と解説してくれたのは、様々なフェス運営に携わるイベント会社スタッフの五十嵐肇さん(仮名・46歳)だ。
「いまやどのフェスも落ち着いてますよ。その理由はなんといってもフェス参加者たちが高齢化したことですね。わりとメジャーなフェスでも参加者は30代以上がメインなので、酔って暴れたりする人は少なくなりました」(五十嵐さん)
若者たちが元気いっぱいに音楽を楽しむ、という従来のイメージとは変わってきているというのだ。
「ざっくり分けると、音楽系メディアが主催しているようなメジャーなフェスは先程言ったような30~40代がメインの客層。夫婦やカップル参加が多いので、落ち着いてます。男女のグループで来てる人もいますけど、サークルっぽい雰囲気なので、ナンパもトラブルも少ないですね。
老舗のキャンプフェスや外タレ系のフェスは平均年齡がもっと上で、40~60代くらいじゃないでしょうか。もっとナチュラル系のキャンプフェスになると、小さな子どもを連れた家族連れがメインだったりするので、無茶する人はいません」(五十嵐さん)