篠田さん父娘の知られざる衝撃的な事実
いよいよ結婚式当日の朝。
そこで思いも寄らない衝撃的な事実を耳にしました。
みきさんと篠田さん父娘(おやこ)間に、長い間確執があったというではありませんか! どこからどう見ても、仲むつまじい親子にしか見えないのに、あまりのギャップに「え? 嘘(うそ)でしょ?」とひっくり返りそうになりました。
2人の間の知られざるドラマは、彼女の学生時代にまでさかのぼります。
小さいころはお父さんのことが大好きで、仲がよかったというみきさん。高校生のときにお父さんが肺がんを患い、家にいる時間が長くなったことで、彼女の行動に対して何かと口を挟まれるようになりました。
「ただいま」
「いったい、こんな時間まで何やってたんだ!」
みきさんの帰りがちょっとでも遅くなるとガミガミ。
「何って、友達とちょっと遊んでただけだよ。もう、お父さんうるさい!」
最初こそはお父さんの小言に言い返していましたが、次第にうるさく言われるのが嫌になり、夜遅くまでアルバイトを入れて避けるようになりました。そうして互いに口をきくことも、顔を合わせることも少なくなっていったのです。
その数年後、みきさんは職場の方とお付き合いするようになり、のちに妊娠が判明。いわゆる授かり婚をすることになりました。娘の突然の報告に、父はすんなり納得できず、ますます溝は深まっていくばかりでした。
父娘関係を見守り続けてきた母が大きな病に襲われる
そんな父娘(おやこ)関係をそばで見守り続けてきたお母さんが、突然大きな病に襲われてしまいました。悪性リンパ腫にかかってしまったのです。
病床でつらい治療に励みながらも、母は折りに触れてこう言いました。
「みき、結婚式は挙げないの? お母さんは式をやってほしいな」
「うーん。でも、旦那さんの仕事も忙しいし、今はまだ難しいと思う」
「そっか……。なら、いいの。私のわがままを言ってごめんね」
両親ともにクリスチャンであることから、「神様の前できちんと結婚を誓ってほしい」という母の望みは、子どもなりによくわかっていました。同時に、「結婚式を機に、お父さんと仲直りしてほしい」という願いも……。母の思いを痛いほど感じながらも、そのときはまだ、踏ん切りがつけられないでいたのです。
不運は重なるもので、今度はお父さんがお風呂場で倒れて救急搬送。肺がんが脳に転移し、さらに病状が悪化してしまったのです。口うるさかった父がどんどん口がきけなくなり、弱り果てていく。その姿を目の当たりにするうちに、みきさんはこれまでの父への態度を省みるようになりました。
ふと、だいぶ前にお父さんからSNSの友達申請が来ていたことを思い出しました。申請が来ていたことはわかっていたものの、ずっと向き合えずにいたのです。