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シメのラーメンを注文すると…
それにしても、大食いの友人がいてくれてよかった。もしひとりだったら、ここまでいろいろなものを楽しめなかっただろう。ということで最後にシメのラーメンを頼んだのだが、これがまた絶品である。透き通ったスープはとてもあっさりしていて、ほどよくごま油の風味もする。細めの麺は麦の香りが心地よい。
「こういうラーメンが一番うまいんですよ。金かけて、1000円ぐらいのラーメンを食べるんじゃなくて」という友人のことばに、「そうだよね」と大きく頷いてしまった。
「よそにも似たような名前の店があるから、お店、間違えてはりません?」
お母さんはおっしゃるが、とんでもない。こういう店に来たかったのだ。それにしても、このラーメンが480円とは驚きである。余計なお世話かもしれないが、値上げしなくても大丈夫なのだろうか?
と疑問に思っていたところ、仕事を終えた店主の呉 健美(ご けんび)さんがちょうどいいタイミングで加わった。御年70歳。なかなか、かっこいい方である。
「いや、考えとるねんけど。そば(の値段)が6月から上がったやんか。書きなおすのも面倒くさいから、どうしようか思って」
なかなか判断が難しいようだが、個人的にはこの味ならもう少し高かったとしても充分に満足できる。なお麺は、古いつきあいであるトアロードの「同興楼」という製麺所から仕入れている。相性抜群の繊細なスープは、鶏と豚だけを使用したものだ。