チョがこれらの動画を拡散させたのも「博士の部屋」と名付けたテレグラムのチャートルームだった。チョは3つのチャットルームを開設し、それぞれの部屋を金額によってわけ、観覧者を募集した。最低20万ウォンから最高150万ウォンまでの入場料はビットコイン、モネロなどの仮想通貨でのみ支払わせた。
被害女性に街で見知らぬ人を誘惑して性行為をするように強要
最も高額の部屋に入場する観覧者には顔写真と連絡先まで提出させるなど、徹底的に秘密保持に努めた。
最高額の部屋に入った観覧者たちにはチョの「奴隷」をリアルタイムで陵辱することもできた。観覧者自ら被害女性に屈辱的なポーズを命令したり、街で見知らぬ人を誘惑して性行為をするように強要したりもした。
チョは熱心に活動する観覧者たちを「職員」と呼び、彼らにマネーロンダリングをさせたり、被害女性たちを強姦させたりと、犯罪に加わらせもした。
さらにチョは写真や個人情報を掲載した「博士の大百科事典」という資料も作った。これは観覧者たちに販売され、彼らは直接連絡を取り、脅迫などを繰り返した。この事典には未成年はもちろん、知的障害者や外国人など、数十人の個人資料が含まれていたという。
被疑者の7割が10~20代
警察は数年にわたる内偵の末、20年3月にチョを逮捕し、同年5月にはN番部屋事件の始祖であるムンも逮捕するなど、関係者を相次いで検挙した。最終的には博士の部屋の会員など3575人が検挙され、このうち245人が身柄を拘束されるに至ったが、被疑者の実に7割が10代と20代であった。
また、一連の事件の被害者は1154人にのぼり、このうち10代が6割以上を占めたという。そもそも主犯格のチョやムンですら逮捕当時24歳であり、10代、20代のデジタルネイティブが起こした事件に社会は衝撃を受けた。チョとムンには、それぞれ懲役43年、懲役34年の刑が確定している。